ここから本文です

韓国・文大統領が日本に報復できない理由、元駐韓大使が解説

7/12(金) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

● 文大統領はリーダーシップを取らない

 文大統領政治の数ある特徴は、拙著新刊『文在寅という災厄』でも述べたが、以下の3つに集約できると考えている。

【この記事の画像を見る】

 1、 現実を直視せず自分に都合のいいように解釈する

 2、 国益を考えず原理原則にこだわる

 3、誤りを認めて謝罪せず常に自分が正しいと主張する

 さらに今回目立ったことは、責任回避である。韓国の文在寅政権を批判する際によく言われることは、文大統領とその側近グループは自分たちが評価されることには前面に立って取り組むが、都合が悪くなると官僚に責任を負わせて知らんぷりするということだ。

 日本が1日、フッ化ポリイミドとエッチングガス(フッ化水素)、レジストの3品目について、輸出管理を包括的な許可から個別審査に切り替えると発表してからも、文大統領はその対応を洪楠基(ホン・ナムギ)経済副総理以下の経済チームに任せ、自らは米朝会談以降の北朝鮮との融和に取り組んできた。

 この問題が日韓経済関係を揺るがす事態に発展する懸念が高まったところで、文大統領はようやく重い腰を上げた。しかし、自ら主宰した会議の結論は、経済関係の閣僚たちが出した結論と何ら変わるものではなく、大統領としてこの問題にどのように取り組むのかは、輪郭さえも見えてきていない。

● 日本の輸出規制措置は 韓国経済を直撃

 日本の対韓国輸出規制強化によって、韓国の半導体業界が打撃を受けることは、韓国経済の致命傷になりかねない。韓国の国内総生産(GDP)の37%は輸出が占め、半導体は輸出の20%を占めている。世界の半導体市場でサムスン電子とSKハイニックスは50%を超えるシェアを持ち、ディスプレーはLGディスプレイとサムスン電子でシェア30%を占めている。

 文大統領は8日に青瓦台で主宰した首席秘書官・補佐官会議で、この問題は前例のない非常事態と認めた上で、「韓国企業に被害が実際に発生する場合に、わが国政府としても必要な対応を取らざるを得ない」「日本側の措置撤回と両国の誠意のある協議を求める」「政府は企業とともに被害を最小限に抑える短期的な対応と処方箋を抜かりなく講じる」と述べた。この問題で文大統領が初めて表明した立場だ。

 だがこれに対し、世耕弘成・経済産業相は、「今回の措置は輸出管理を適切に実施する上での必要な日本国内の運用見直し」であり「協議の対象ではなく、撤回も全く考えていない」と直ちに拒否した。

 文大統領が前面に立ち、日本への対応を指揮するようになったのは、韓国政府にとって一歩前進ではある。しかし、その中身に全く新味はなく、経済官庁がまとめた案を基に指示しただけだった。

● 財界も見放した 文大統領の対策

 文大統領は、「短期的な対応と処方箋を抜かりなく講じる」と述べたが、韓国政府が今検討している対策は、好意的に見ても中長期的対策であり、当面の効果は期待できない。その間に韓国経済が被る損失は計り知れない。

 10日に白芝娥(ペク・ジア)在ジュネーブ代表部大使は、WTOの商品貿易理事会のその他の議題において、「日本は政治的動機で貿易制限措置を取った」「韓国企業だけでなく世界の貿易にも否定的な影響を及ぼす」「日本側は国際的な貿易ルールに違反しており、措置の撤回を強く求める」と訴えた。これに対し日本の伊原在ジュネーブ代表部大使は「規制措置ではなく、安全保障に関する貿易管理上の見直し」であり、「韓国を簡素化手続きの対象から通常の手続きに戻したものでありWTOの協定上問題はない」とその訴えを退けた。韓国がWTOに提訴したとしても、結論が出るまでには数年要するといわれる。

 文大統領は、「部品、素材、装備産業の育成を最優先事項の一つとして企業を支援する」とし、このため毎年予算を1兆ウォン割り当てるという。

1/4ページ

最終更新:7/12(金) 10:00
ダイヤモンド・オンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

週刊ダイヤモンド

ダイヤモンド社

2019年7月20日号
発売日7月13日

定価710円(税込み)

特集 三菱・三井・住友
財閥グループの真実
特集2 「MMT」の真実
特集3 スルガ銀行 創業家との決別

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事