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金融庁メンツ丸つぶれ、ビットポイント仮想通貨流出の「間の悪さ」

7/12(金) 18:00配信

日経ビジネス

 日本で4度目となる仮想通貨流出事故が発生してしまった。

 リミックスポイントの子会社であるビットポイントジャパンは7月12日、同社が運営する仮想通貨交換所「BITPoint」から約35億円分の仮想通貨が流出したと発表した。

 同社が異変に気づいたのは7月11日22時過ぎ。仮想通貨「リップル」の送金でエラーを検知し、情報システム部門などで調査をしたところ22時39分にリップルの不正流出を確認したという。日をまたいだ7月12日の2時にリップル以外の仮想通貨の流出も確認され、10時30分に仮想通貨の売買・交換を含むすべてのサービスを停止させるに至った。

 流出した約35億円分の仮想通貨は、約25億円が顧客からの預かり分、約10億円がビットポイントジャパンの保有分。仮想通貨の保管方法にはオンライン上で保管する「ホットウォレット」、オフライン環境下で保管する「コールドウォレット」の2つがあるが、流出したのはいずれもホットウォレットで保管していた仮想通貨となる。

 ビットポイントジャパンによれば、同社がホットウォレットで保管していたのは「ビットコイン」「ビットコインキャッシュ」「イーサリアム」「ライトコイン」「リップル」の5銘柄という。

 仮想通貨については国内仮想通貨交換業者が相次いで流出事故を起こしたことから、ルールの目的化や制度整備を目的に資金決済法と金融商品取引法の改正が5月31日に国会で成立。改正法には仮想通貨をコールドウォレット等で管理することの義務化が盛り込まれていた。改正法は2020年6月までに施行されることとなっており、その狭間を狙われた可能性が高い。

 京都大学公共政策大学院の岩下直行教授は今回の流出事故について、「改正法の施行前だが、ビットポイントがその精神を尊重して、顧客の資産保護のために同種同量の暗号資産をコールドウォレットに保有していたかどうかが今後の焦点になるだろう」と語った。

●繰り返し潰される金融庁の「メンツ」

 「金融庁のメンツがまた潰されることになった」。仮想通貨交換業の幹部は今回の事件を受け、こう漏らした。というのも、金融庁はビットポイントジャパンに対する業務改善命令の報告義務を6月28日に解除したばかりだったからだ。

 金融庁は2018年6月22日にビットポイントジャパンに対する行政処分を発表。その後、同社に対して業務改善計画の提出を求め、約1年間にわたって進捗や実施状況を継続的に報告させてきた。

 「(業務改善命令の解除は)個別に詳細設計を確認するわけではなく、内部統制体制を確認することで解除するかどうかを決める」(仮想通貨業界関係者)。そのため、業務改善命令の解除をもって金融庁がシステムリスクに対して太鼓判を押したことにはならない。だが、「それでもタイミングがあまりにも悪い」(仮想通貨交換業幹部)。

 仮想通貨業界は2018年1月に発生したコインチェックによる仮想通貨流出事件をきっかけに、段階的に規制が強化されてきた。金融庁は仮想通貨交換業者に立ち入り検査を実施し、業務改善命令や業務停止命令を相次いで発出。同年9月にはテックビューロが運営する仮想通貨取引所「Zaif」が仮想通貨を流出させ、規制強化を目的とした法改正の動きが加速した。

 法改正も無事成立し、ようやくこれからというタイミングで起きた今回の流出事故。仮想通貨業界は一様に肩を落としている。

原 隆

最終更新:7/12(金) 18:00
日経ビジネス

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