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土曜外来廃止やIT活用で残業抑制(医師の働き方改革)

7/13(土) 10:12配信

NIKKEI STYLE

長時間労働を余儀なくされている勤務医の働き方を見直す動きが広がっている。土曜日の外来を廃止したり、夜勤の人数を減らしたりするほか、看護師に業務の一部を任せるなど、先行して取り組む病院では残業時間の削減につながっている。タブレット型端末を活用して情報共有を強化するなど、医療の質を落とさずに働き方改革をする模索が続いている。
「50、60代のベテラン医師にも夜勤をお願いするようにした」と話すのは聖路加国際病院(東京・中央)の福井次矢院長。同病院は労働基準監督署の立ち入り調査を機に、医師の働き方改革に着手した。ベテラン医師は夜勤をしていなかったが、現在は午後5時~午後11時の準夜帯や、週末の宿日直を担う。
同病院は土曜日の外来は救急科と一般内科を残して原則、廃止している。土曜外来の受診者は平日に比べて少ないため、平日に患者を集中させるためだ。
さらに時間外に対応することが多い患者や家族への病状説明は所定の労働時間内に限定した。その結果、1カ月当たりの平均時間外労働は95時間から35時間まで減ったという。
昭和大学病院(東京・品川)は夜間に各診療科から最低1人ずつ当直医を出していた対応を見直している。一部の診療科を除き、「内科系」「外科系」と大きく分けてカバーする体制に変更した。1人当たりの当直は月4~5回から2~3回に減った。
単に夜間に病棟にいる医師数を減らすと医療安全に影響が出る恐れがある。このため同病院では18年8月、集中治療室(ICU)専門医を中心とした「迅速対応チーム」を結成。急変リスクが高い患者を事前に抽出してチェックする体制を構築した。
夜間の軽症患者の救急受け入れ態勢を見直したのは杏林大学病院(東京都三鷹市)だ。夜間の患者が少ない診療科は事前にシフトを組んで夜間勤務できる体制を整えるか、自宅で待機する「オンコール体制」に変更している。
重症患者を受け入れる高度救命救急センターとしての機能は維持した。市村正一病院長は「救急の砦(とりで)としての役割を果たすため、高レベルの救急医療に集中する」と話す。
医師の残業時間を減らすためには、医師が「医師にしかできない業務」に専念できる体制を整えることも欠かせない。
同病院では医師の業務の一部を看護師に任せることも取り入れている。研修医が行っていた採血の一部を看護師が実施。一部の書類作成業務は医師事務作業補助者に担ってもらうようにした。
医師の残業時間を減らしながら医療提供体制を維持するため、情報通信技術(ICT)の活用も大切だ。南多摩病院(東京都八王子市)はタブレット型端末を活用することで、夜間対応の負担を減らす工夫をした。自宅で待機しながら緊急時に出勤する「オンコール医」は、病院の救急医から電話を受けると、まずタブレット型端末で患者の所見や検査結果を確認する。
「緊急性がない」と判断できれば電話での指示だけで済む。15年度に救急医がタブレット型端末を利用してオンコール医に判断を求めたケースが38件、このうち病院に出向いたのは6件で、オンコール医の出勤減少につながった。
ただ医師の働き方改革を巡っては「地域医療が崩壊する恐れがある」という危機意識も根強い。日本病院会の相沢孝夫会長は、時間外労働が制限されることで「医師を確保できず、夜間の救急対応を中止する病院が出てくる」と危惧する。
相沢会長は長野県松本市で救急患者を多く受け入れている相沢病院の最高経営責任者も務める。救急患者の受け入れを中止する病院が出ると、特定の病院に救急患者が集中する。相沢会長は「救急患者の増加に伴う収入増より、人件費による支出が多くなり、救急体制の維持が困難になる病院が続出するのではないか」と指摘する。
労働時間に上限が設けられると、給与が低く民間病院のアルバイト勤務で補っていた大学病院の勤務医は収入減を避けるため、収入も多く働き方改革も進んだ民間病院を選ぶようになる可能性もある。千葉大学病院の山本修一院長は「大学病院で働く医師が減ると、地方に医師を派遣できなくなり、地域医療が立ちゆかなくなる」と懸念する。
医師の長時間労働は日本の地域医療を支える一方、過労死の温床にもなってきた。働き方改革と地域医療の崩壊をどう防ぐのか。最適解は見えていない。
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最終更新:7/13(土) 12:15
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