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1羽数百万円も、野生インコの「卵密輸」が横行している

7/13(土) 16:31配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

欧州で人気のアマゾンの希少なコンゴウインコ、違法取引の巧妙な手口とは

 2010年、スイス、チューリッヒの空港で、ブラジルから到着したある乗客を見た税関職員が不審に思った。その男は妙な歩き方をしていた。麻薬を隠し持っているのではないかと職員は疑い、男の身体検査を行った。

ギャラリー:希少な美しきコンゴウインコたち 写真9点

 ところが、下着のなかから出てきたのは、薬物ではなく25個の卵だった。アマゾン原産のコンゴウインコなどの卵だ。男は腹に卵を巻きつけて、11時間のフライトの間中ずっと温めていたのである。

「あの時のことはよく覚えています」。ワシントン条約を担当するスイス連邦獣医局の副局長ブルーノ・マイニニ氏は語る。

 似たような話は、ヨーロッパの他の場所でも聞くことができる。野生の鳥を密猟するのではなく、巣から卵を持ち去ってヨーロッパへ運び、そこで孵卵器に入れる。卵からかえったひなは、飼育下で生まれた鳥として合法的に売られるのだ。

 不正に稼いだ金を合法に見せかけるマネーロンダリングと同様、これは「エッグロンダリング」と呼ばれる。合法ルートで鳥を入手したように見せかけて売りさばこうとする行為だ。

 チューリッヒの空港で逮捕された男は、スイス国籍の共犯者がもうひとりいると供述した。しかも、山奥にあるその男の家には、他にも珍しい鳥が飼育されているらしい。

 スイスのプライバシー保護法により、2人の氏名は明かされず、裁判記録も公開されていない。だが、マイニニ氏らが問題の家へ行ってみると、数百という鳥を発見して腰を抜かしたという。

 なかでも特に捜査官の注意を引いたのは「インコの王様」として知られる青と黄の美しいスミレコンゴウインコだった。愛好家の間で人気が高まったことから、一時は絶滅寸前まで追い込まれた鳥だ。1990年までの10年間で、ペットとして売るために1万羽が捕獲されたとみられ、生息数は1500羽にまで減少した。

 現在、野生のスミレコンゴウインコは取引が禁止され、ブラジル国内法および国際条約で保護されている。合法に取引が認められているのは飼育下で生まれた鳥だけで、売れば最低でも100万円、その数倍の値がつくことも珍しくない。

 ペットの鳥にしてはかなり高額だが、それだけ払ってでもほしいという人は多い。「ポルシェのようなものです。値段は問題じゃない。自分のものにできるかどうかなんです」。ドイツ人ブリーダーのノルベルト・へベル氏はそう語る。

 理由はわからないが、飼育下のスミレコンゴウインコは繁殖が極めて難しいことで知られている。たとえ卵を産んだとしても、無精卵であったり、孵化する前に死んでしまうこともある

 飼育されているスミレコンゴウインコの数や、繁殖に成功した数はどこにも記録されていないが、へベル氏をはじめとする専門家は、繁殖の難しさから需要が常に供給を上回っている状態だと証言している。卵の密輸が横行しているのは、そのためだ。

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