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【ボクシング】2分間、思いのたけの連打の嵐 村田諒太が劇的にリベンジ

7/13(土) 6:49配信

ベースボール・マガジン社WEB

 2回だ。右ストレートが効いた。ブラントが前のめりによろける。この後、1度のダウンでの8秒間のブレイクを挟んで、村田は2分間、パンチを出し続けるのだ。左フックから右、ブラントが仰向けに倒れて、さらに立ち上がっても足もとはふらついたまま。村田が追う。さらに追う。軸にするのは得意の右。だが、それだけではない。左フックのボディが当たるたびに、ブラントの腕が下がる。すかさず同じパンチを顔に。大きくよろける。逃げ惑うブラント。2度ほどロープに崩れたが、それでも倒れない。最後は左フックでお膳立てしてコーナーに追い込み、右ストレートで顔を跳ね上げた。ブラントはもうバランスを管理できない。右の追い打ちに大きくよろけたところで、レフェリーのルイス・パボンはようやくストップをかけた。

『村田コール』の嵐の中で手を上げられた村田は、滂沱の涙の予感に立ちすくんでいた。

「この試合が最後になるかもしれないと覚悟していました。だから悔いなく戦いたかった。そして練習してきたことがそのまま出せました。チーム帝拳に感謝します」

 勝者は歓喜にとことん従順だった。

「左フックはスパーリングでも効かせることがありました。できるものがそのまま出せたから、この結果につながったと思います」

「南京都高校、東洋大学、そして帝拳ジム。僕に居場所を与えてくれました。すべてに感謝します」

 試合後、村田は感謝という言葉を何度、繰り返しただろうか。素晴らしい。あまりにも素晴らしい。

 沸き立つ熱狂の傍ら、敗者は笑顔で取材者を出迎えた。

「ムラタは彼の宿題をよくやったと言うこと。第1戦とは違っていた。ストップについては、レフェリーが判断すること。私が言うべき立場にない。第3戦を望みたい」

 前戦からトレーナーについた元世界ライトヘビー級チャンピオンのエディ・ムスタファ・ムハマドが、ぽつんと言った。

「これもボクシングだ」

 輝く陽光の裏側にはほの暗い陰影が必ずある。だが、今日だけは日本のヒーロー、村田諒太の勝利だけをかみしめていたい。9ヵ月前、痛切な思いにさいなまれたのは、そう、この村田諒太なのだ。

文◎宮崎正博
写真◎早浪章弘、毛受亮介

ボクシング・マガジン編集部

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最終更新:7/13(土) 6:49
ベースボール・マガジン社WEB

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