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不動産投資が儲かるならば、売り手はなぜ自分で購入しないのか

7/13(土) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

安定した収益を確保できると謳われ、昨今人気の高まる不動産投資。しかし、オリンピック後における不動産価値下落の可能性や、生産緑地の2022年問題など、今後の業況への不安感は増しています。賃貸、売買、ビジネスホテルなどの事業を手がける松本俊人氏は、「不動産市場の冬の時代」到来を予言し、素人が賃貸経営を始めることを危険視しています。

今からの「不動産投資」は慎重にしたほうがいい

不動産市場に冬の時代が来るという私の言説を、歓迎しない人もたくさんいるでしょう。なにしろ、現在は不動産投資が一種のブームになっていて、書店に行けば「不動産投資」の本がたくさん平積みされていますし、不動産業界も「地価上昇」のニュースに踊らされているからです。

しかし、考えてもみてください。もしも不動産投資がそれほどまでに儲かるものであるならば、なぜ不動産のプロフェッショナルである不動産屋は、自ら不動産を購入してアパート経営を始めないのでしょうか?

答えは明白だと思います。不動産投資(アパート経営)は、手間がかかって、リスクが大きく、堅実なビジネスではないからです。それよりも、お客様に対して「不動産投資」を勧めて、仲介手数料で収益を上げるほうが、よほど確実に儲けることができるからです。

不動産屋のなかには「お金がないから」という理由を述べる人もいるかもしれません。しかし、サラリーマン大家さんと、まがりなりにも会社組織である不動産屋を比較して、どちらがよりお金を借りやすいでしょうか。銀行がお金を貸したいと思うのはどちらでしょうか。

これも答えは明白です。住宅ローンを除けば、会社のほうが個人よりも断然お金を借りやすいですし、素人のサラリーマン大家さんよりも、プロフェッショナルな不動産屋のほうが、よほど「不動産投資」に成功する確率が高いはずです。にもかかわらず、不動産屋の多くは、自ら「不動産」に「投資」してアパート経営には乗り出しません。理由はやはりリスクが大きいからです。

2007年に、ミニバブルと呼ばれた不動産価格の上昇がありました。もしかすると読者のなかには、「不動産投資」のチャンス到来かと飛び付いた人がいたかもしれませんが、ご承知のように2008年のリーマンショックであっというまにバブルははじけてしまいました。

一般の方は、不動産屋は全て「不動産投資」をしていると思っている人がいるかもしれませんが、真逆です。ほとんどの不動産屋は、自らお金を出して不動産の購入なんかしません。街の不動産屋の仕事の大半は、仲介業と呼ばれる、一種の情報ビジネスです。不動産を買いたい、あるいは借りたいお客様と、売りたい、あるいは貸したいお客様とをつなげて、仲介手数料をいただくのが不動産屋の主なビジネスです。

ただし、仲介業だけではなかなか会社を大きくするのが難しいので、業態を広げてさまざまな領域に手を出している不動産屋が多いことでしょう。たとえば、仲介ビジネスでも、賃貸を得意とする不動産屋と、売買を得意とする不動産屋とに分かれるのですが、賃貸仲介の会社はお客様の物件の管理を手掛けていることも多いです。

一方、売買を行う不動産屋は、プロフェッショナルな目利きで、掘り出し物を購入して、リフォームなどを施してから売却することで利益を上げることもあります。なかには、土地を購入して、マンションや分譲住宅を建設し、自ら販売するようなビジネスを手掛ける不動産屋もありますが、こうなると不動産屋というよりはデベロッパー(開発業者)の領域に入ってくるでしょう。

いずれにせよ、いわゆる不動産投資(アパート経営)をメインに手掛ける不動産屋は、あまり見たことがありません。なぜならば、賃貸住宅の経営は、空室リスクがあるうえに、投資額を回収するのに長期的な時間がかかるからです。

もっとも、大家さんからアパートを丸ごと一棟借り上げるかたちで、自ら入居者を集めるサブリースを行っている業者は少なくないようです。これも、不動産屋というよりは、そのアパートを建設するデベロッパーが、大家さんへのサービスとして行っていることが多いようです。

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最終更新:7/13(土) 11:00
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