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次の首相は…今イギリスを覆う「冒険主義的民主主義」の危うさ

7/13(土) 8:00配信

現代ビジネス

次のイギリス首相は誰か?

 イギリスで進む保守党党首選では、何かと物議をかもすボリス・ジョンソン元外相(55)が優勢を維持し、次期首相の座を確実にしつつあるようだ。

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 このジョンソン氏。筆者にとっては「つかみどころのない政治家」である。

 英語には愛すべきとのニュアンスを込めた「eccentric(変わり者)」という言葉があるが、この言葉を地で行く人物だ。

 彼の一般的な評価は次のようなものだろう。

 “その親しみやすさ、コミュニケーション能力の高さから最も人気のある政治家である一方、その無責任な言動から最も嫌われている政治家でもある”

 ジョンソン氏は、EU離脱の是非を問う国民投票(2016年6月)で離脱派を主導し、そのデマゴーグ(扇動政治家)ぶりをフルに発揮した。

 例えば、イギリスは毎週3億5000万ポンド(約500億円)をEU予算に拠出しているという根拠のない数字をぶち上げ、そのお金をEUから取り戻し、イギリス人が誇りとする無料の国民医療制度NHSの改善に使おう、と訴えた。

 リベラル層から見れば、ジョンソン氏は「ペテン師」である。

 「ポピュリスト・ナショナリズム(大衆迎合主義的ナショナリズム)」の権化のような存在と言えるだろう。

 また、事実や細部を軽視する傾向、人種差別的な言動などから、トランプ米大統領との類似性で語られることも多い。

 新聞記者、ロンドン市長などの経歴を持つジョンソン氏。英紙タイムズの記者時代にはコメントのねつ造で解雇されたことさえある。

 そのジョンソン氏は、トランプ大統領から「彼は素晴らしい首相になる」と絶賛されている。

 ジョンソン首相が現実となれば、「米英フェイクニュース同盟」が誕生するのだろうか。

 そうなれば、国際的な政治潮流への影響も小さくはないだろう。

 一方で、ジョンソン氏はエリート(良家の子息でオックスフォード大卒)でありながら、ボサボサの金髪にシャツ出しルックなどそれを感じさせない風体と愛嬌のある言動から、庶民層を中心に好感度は非常に高い。

 彼が2015年10月に来日した際、ストリートラグビーのイベントに参加し、10歳の男の子に真顔で“タックル”する姿に驚き、思わず笑ってしまった読者もいることだろう。

 ジョンソン氏に潜む「危うさ」と「好感度」の二面性。

 世論調査会社「YouGov」の一般有権者を対象にした6月下旬の調査によると、ジョンソン氏が「良い首相」になるとみているのは25%に止まり、58%が「悪い首相」になるとみている。

 それでも、首相後継レースで独走するジョンソン氏。

 その現状は、ブレグジット問題をめぐる社会の閉塞感の強さの裏返しであり、「カリスマ性のある例外的な指導者」が停滞する空気を一掃してくれることへの期待感を示すものだろう。

 「吉」と出るか。「凶」と出るか。

 その現状は「冒険主義的民主主義」とでも呼びたくなるものである。

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最終更新:7/13(土) 8:00
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