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中小支援の鍵、最賃引き上げ

7/14(日) 18:19配信

Japan In-depth

【まとめ】

・「全国加重平均」派と「全国一律」派、最賃引き上げは参院選争点。

・加重平均での最賃引き上げで地域差拡大。他方「全国一律」も困難。

・大企業との格差急拡大。最賃引き上げとセットで中小企業への抜本支援を。

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厚生労働省が地域別最低賃金の引き上げ額目安を示す中央最低賃金審議会(最賃審、厚労相の諮問機関)での議論をスタートさせた。最賃引き上げは21日投開票の参院選の争点にもなっている。

各都道府県の最賃は毎年、政府と労使で構成する最賃審から7月末に示される引き上げ額目安を参考に、8月中に地域別最賃審議会が金額を決定。その年の10月から効力が発生する。

「より早期の全国加重平均1000円の実現の第一歩となるよう、審議をお願いする」。根本厚労相は、7月4日の最賃審議会であいさつした。審議会は参院選後に本格的な議論を行い、月末には結論を出す見通しだ。

根本厚労相が所属する自民党の公約は、地域間格差に配慮しつつ全国加重平均1000円を目指すというものだ。政府は2016年に閣議決定した「1億総活躍プラン」で全国平均最低賃金(最賃)を1000円にする目標を掲げた。この目標を達成するため毎年3%程度引き上げる方針を明記。ここ3年、3%の最賃引き上げを実施してきた。

このままのペースで最賃が上がれば2023年度に目標を達成する。公明党は2020年代前半に1000円超を目指すと達成時期を公約に明記したが、毎年3%の引き上げで達成可能だ。何も公約に盛り込まなくていいはずだが、選挙で自党の政策のPR材料に使われている。

一方、立憲民主党は「5年以内に1300円に引き上げる」ことを公約に盛り込み、国民民主党は「全国どこでも1000円以上」を公約としたが達成時期や引き上げ幅は明記しなかった。

これに対し共産、社民両党は全国一律で時給1000円への引き上げを主張する。一見、各政党とも最賃引き上げでは一致しているようだが、与党と立民、国民が全国加重平均での「底上げ」を公約としているのに対し、共産、社民は欧州型の「全国一律」最賃への転換を公約としているのである。

全国加重平均での最賃は18年度に874円にまで上がっている。今年の最賃改訂で地域別最賃最高額である時給985円の東京が初の1000円台に乗るのは確実だ。しかし「率」での引き上げ目標(目安)のため、都道府県最高の東京と最低の鹿児島の761円との差は224円と前年の221円からさらに拡大しているのである。

このため共産党は「最低賃金が低い地方から都市への一極集中が加速している」(志位和夫委員長)とし、全国一律最賃制度への転換を求める。この背景には英国人金融アナリストのデービッド・アトキンソン小西美術工藝社社長の提言がある。

氏は「労働者は最賃が高い都市部に移動。地方が衰退する」と他の先進国同様、全国一律への転換を説く。「賃上げによる生産性向上こそ人口減×高齢化のダメージを打ち消す唯一の方法だ」ともいう。

一律化には地方の中小企業を会員に抱える日本商工会議所は「中小企業に重大な影響が出る」と反発する。自民党内にも一律化を求める議員連盟が発足したが、党全体では現時点では困難という見解だ。

最賃引き上げを公約に掲げる6党は、いずれも中小企業への支援も盛り込んだ。大企業と中小企業との業績格差が急激に拡大している。その要因の1つが、大企業が受ける円安での「ドル建て輸出の円換算」上昇利益が中小に回ってないことだ。

一方では中小企業の大企業への納品価格は切り下げられた。政府は法人税率を引き下げたが「川上インフレ・川下デフレ」のダブルパンチを受ける中小は法人税を納められず、この恩恵も受けられない。

消費不況から脱するためにも大手と中小の二重構造の解消の取り組むべきである。政府は最賃引き上げとセットで、雇用者の7割を占める中小企業への抜本的な支援策を打ち出すべきなのである。

八木澤徹(日刊工業新聞 編集委員兼論説委員)

最終更新:7/14(日) 18:19
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