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弁護士が教える「家賃滞納への対処」…法的手続きの取り方

7/14(日) 10:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

賃貸物件の賃借人から毎月支払われるべき「家賃」を滞納されることは、収益が確保できないことに加え、ほかの居住者への影響など、家主にとって大きな損失につながる問題です。そこで本記事では、賃料未払いの賃貸人への対応手段について解説します。※本連載では、投資用不動産業界の健全化を目指す一般社団法人首都圏小規模住宅協会が、正しい知識と公平な情報を紹介します。

家賃未払いの賃貸人に早く出て行ってもらいたいが…

【今回の執筆者紹介】

竹村鮎子弁護士

練馬・市民と子ども法律事務所

2009年弁護士登録

本記事では、大家が頭を悩ませる賃貸未払いの賃貸人への対応について、経緯から決着までを順を追って3回に分け、貸主をA、借主をBとして解説しています。前回はこちらをご覧ください(関連記事『 内容証明を無視されたら?弁護士が教える「家賃滞納」への対処 』参照)。今回は、その第2回目になります。

Aさんはマンションの1室をBさんに貸していますが、Bさんからはもう3カ月、家賃の支払がありません。このため、Aさんは期限を定めて家賃の支払を求める内容の内容証明郵便を発送しました。しかし、Bさんからは特になんの回答もないまま、支払期限は過ぎていきました。

このためAさんは、Bさんに部屋を出て行ってもらうため裁判を起こして、賃貸借契約の解除と建物の明け渡し、未払賃料の回収をしなくてはならないと考えるようになりました。

Aさんは再度、弁護士に相談に行きました。

弁護士「Bさんに対して法的手続きを取るつもりなのですね」

Aさん「そうでもしないと、このまま家賃が支払われないまま、ズルズルと居座られそうな気がしています。私としては早くBさんに出て行ってもらって、新しい人に部屋に入居してもらいたいと思っています」

弁護士「それでは、Bさんに対しては賃料未払いによる賃貸借契約の解除と建物の明け渡し、さらに未払い賃料の支払いを求める裁判を起こすべきでしょう。また、裁判の前に『占有移転禁止の仮処分』を起こすことを検討してみてください」

Aさん「『占有移転禁止の仮処分』とは何ですか?」

弁護士「裁判でBさんに対して『Aさんに部屋を明け渡せ』という内容の判決が出ても、その時にもしもBさんではなく、別のCさんが部屋を占有していた場合、その判決の効力はCさんには及ばないのです」

Aさん「どういうことですか?」

弁護士「判決に勝っても、それはあくまでBさんに対するものなので、BさんではなくCさんに対して建物を明け渡すことを求めることはできないのです。このため、判決が出るまでに建物を使用している人がBさんからほかの人に変わってしまう恐れがある場合には、占有移転禁止の仮処分を行っておくべきでしょう」

Aさん「そうすれば、Cさんにも出て行ってもらえるのですか?」

弁護士「占有移転禁止の仮処分を行っておけば、裁判所から仮処分命令が出た後は、Bさんが部屋をほかの誰かに使わせることはできなくなります。もし、仮処分命令が出た後に、Bさんがほかの誰かに部屋を使わせていた場合でも、Bさんに対する判決が出れば、そのほかの誰かを立ち退かせることもできます。しかし、占有移転禁止の仮処分を行う場合、担保金を用意する必要があります」

Aさん「担保金とは何ですか?」

弁護士「占有移転禁止の仮処分は、貸主側だけの主張を聞いて出されるものなので、貸主側の主張が誤っていた時などには、借主側に損害が出る恐れがあります。このため、その損害賠償分として、あらかじめ裁判所に担保金を入れておく必要があるのです」

Aさん「私が嘘をついているというのですか?」

弁護士「Aさんが嘘をついているかは関係なく、裁判は、双方のいい分を聞いて判決を出すのが原則です。しかし、占有移転禁止の仮処分は、借主側の意見を聞かないで仮処分命令が出されるので、裁判所としては借主側に配慮をせざるを得ないのです」

Aさん「分かりました。担保金とはいくらですか」

弁護士「事例に応じて異なりますが、目安としては家賃の1カ月分から3カ月分です」

Aさん「けっこうしますね」

弁護士「担保金は、損害賠償が発生しなければ返ってきます。ほとんどの場合にはそのまま返金されますが、一時的な出費の多さは無視できませんね」

Aさん「絶対に占有移転禁止の仮処分を行わないといけないのですか?」

弁護士「絶対ではありません。占有移転禁止の仮処分は、裁判までに建物の占有者が変わってしまうことによるリスクを排除するものなので、占有者の変わる可能性が低い場合は、わざわざ行う必要があるかどうか、ご自身でよく考えたほうがいいでしょう。負担もありますし、きちんとした準備が必要です」

Aさん「申し立てを行ったほうがいい場合とは、どのような場合でしょうか?」

弁護士「裁判が終わるまでに占有が移転されるリスクが高い場合には、占有移転禁止の仮処分を行うべきでしょう。例えば、貸している部屋に不特定多数の人が出入りしていたり、Bさんの姿を見かけなくなっていたりするような場合などは、占有移転禁止の仮処分を行うべきだといえるでしょう」

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最終更新:7/14(日) 10:00
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