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〈没後10年〉マイケル・ジャクソンの「少年性的虐待疑惑」とはなんだったのか

7/14(日) 7:31配信

デイリー新潮

 虐待疑惑に関するあらゆる資料に目を通してきた西寺氏は、「結論から言うとマイケルはシロ」と断言する。90年代の少年虐待疑惑の背景には、スーパースターへの興味が過熱した結果マスコミが生み出した偏見やバッシング、それらに影響された警察やFBIの勇み足があった。
 当時から、動物や子どもへの偏愛、遊園地のような「ネバーランド」の特殊性が、マスコミに奇行として取りざたされ、「マイケルは怪しい」という空気が蔓延していた。
 そんな中で裁判が起き、警察やFBIは組織の威信をかけ、家宅捜索、盗聴、ハッキング、スパイ等あらゆる手段を使って疑惑を実証しようとしてきた。だが16年にわたる調査の結果、驚くべきことに、なにひとつとして虐待の証拠は出てこなかったという。FBIの捜査資料はのちにジャーナリストの執拗な要請でしぶしぶ公開され、閲覧可能となったこともあり、マイケルの潔白は世の中に印象付けられたはずだった。

 西寺氏は続ける。

「『Leaving Neverland』が全米で放送された3月、再び隠蔽されていたFBIの捜査資料が、ウィキリークスによって一時期暴かれました。『国家が税金を使い冤罪被害者をリンチしていた』と、マイケルが亡くなった後、批判が殺到したためです。このファイルを読みさえすれば、誰もがマイケルはゆすりたかりを受けた被害者、という結論にたどり着くはずなのです」

 ではなぜ、今になっても「マイケルから虐待を受けた」と訴え出る人物が出てくるのか。西寺氏はこう分析する。

「まずひとつ目の理由は、お金でしょう。90年代の訴訟でマイケルと弁護士は、刑事裁判に持ち込まれて何年も法廷で争うことで、少年を傷つけてしまうことを恐れ、保険で莫大な示談金を払ってしまい、悪しき前例を作ってしまった。
 もうひとつはマイケルへの逆恨み。一度彼に気に入られると、生活面でも仕事面でも夢のような恩恵が受けられる。しかしひとたび金銭的要求が過剰になると、マイケルは人間不信で敏感な部分もありますから、その人たちをいきなり遠ざけシャットアウトしてしまう。
 若くして大成功したものの、2010年代に入り経済的に困窮し始めたウェイド・ロブソンは、ラスベガスで行われるシルク・ド・ソレイユのマイケル・ミュージカルの振付師に立候補しますが、仕事を断られてしまいます。そこで、芸能事務所を経営する母親ジョイと共謀し、突然マイケルに性的虐待を受けたと裁判を起こしました。しかしロブソンはその裁判に負け、裁判費用も支払えていません」

 とはいえ、西寺氏はこうも付け加える。

「ロブソンとジェームズ・セーフチャック、今回性的虐待を訴える2人の男性の証言や、語る体験自体は嘘だとも言い切れない。マイケルではない、別の相手に虐待されたことをすり替えている可能性はあります。監督のダン・リード自身、少年時代に性的虐待を受けたそうで、映画の矛盾点を突かれて、『マイケル・ジャクソンのことは、よく知らない。これはロブソンとセーフチャックの話だ』とも言っています。
 しかし、もはや亡くなったマイケルには反論できません。そもそも故人の名誉毀損なども、これほどのメガスターになると複雑で難しいようです」

 敬愛されるがゆえに、ときに憎しみや中傷の対象にもなってしまうのが、スターなのかもしれない。昨年、映画「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットで、亡くなったフレディ・マーキュリーに当時を知らない若い世代の注目が集まったように、20世紀最大のポップ・アイコン、マイケル・ジャクソンもまた、疑惑を払拭して、新しいファンを獲得することができるのだろうか。

デイリー新潮編集部

2019年7月14日 掲載

新潮社

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最終更新:8/22(木) 10:56
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