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炎上しつつ全国拡大上映中のドキュメンタリー映画『主戦場』監督と戦史研究家が対談。慰安婦問題「あった/なかった」論争はなぜ収拾がつかないのか?

7/14(日) 15:00配信

週プレNEWS

被害者は20万人もいたのか? 強制連行はあったのか? 性奴隷だったのか? 「従軍慰安婦論争」を描いたドキュメンタリー映画『主戦場』が全国で拡大上映中だ。

意見の異なる論者約30名が出演するこの映画は、4月20日の公開当初から激しい賛否両論を巻き起こしていたが、6月19日、一部の出演者が肖像権の侵害などを主張し、監督と配給会社を相手取り、上映禁止と損害賠償を求めて東京地裁に提訴する事態に発展。

映画そのものが「戦場」となりつつあるが、この騒動の前、本誌は監督のミキ・デザキ氏と、戦史・紛争史研究家の山崎雅弘氏の対談を収録していた。燻(くすぶ)り続けるこの論争に、収拾が付くときは来るのか?

■「なかった派」出演者が「裏切られた」と批判
ミキ・デザキ監督の『主戦場』は、4月20日に封切られると連日立ち見が出るほどの反響で、上映館が全国に広まっている。この映画には従軍慰安婦論争の当事者約30名が出演。「被害者20万人」「性奴隷」「強制連行」など、論点ごとに出演者たちの発言をぶつけていくという構成だ。それぞれの主張に濃淡はあるが、日本軍の非人道的行為・違法行為は「あった」とする派、「なかった」とする派の対立構造が基調となっている。

一方、山崎雅弘氏は5月に『歴史戦と思想戦――歴史問題の読み解き方』を上梓。過去の歴史を恣意的に歪曲(わいきょく)しようとする、いわゆる「歴史修正主義者」らの根本には「歴史戦」という概念、つまり「中韓は歴史問題で日本を不当に攻撃しているので、日本人は反撃すべきだ」という考えがあると読み解き、丹念な事実検証をとおし、彼らが用いるトリックやウソを暴いている。

***

――『主戦場』は、「なかった派」の主張を、「あった派」の歴史学者らが史実を示して否定するというシーンが目立ちます。そのせいか、「なかった派」の出演者からは激しい批判が巻き起こっています。 

弁護士・タレントのケント・ギルバート氏は雑誌『正論』6月号で、「当初は『慰安婦問題をめぐってバランスの取れた映画を作る』との約束でしたが、裏切られた」「この映画は前半から、私や櫻井よしこ先生、杉田水脈(みお)先生らを並べて、"REVISIONIST(歴史修正主義者)"と有無を言わせずレッテルを貼るなど、原始的なプロパガンダの手法を使っているひどい映画」などと書き、取材方法や編集方法がフェアではない、と批判しています。

デザキ 私はこの映画をフェアに作ったと思っています。彼らの主張のすべてを、できる限り入れているからです。あまり多くの論点を詰め込むと、映画は長く退屈なものになりますが、そうすることが重要だと思ったのです。ただし、対立する双方の意見をフェアな形で見せた上で、約3年の取材をとおして得た私の「結論」を添えました。その結論が気に入らなかったから、彼らは「フェアじゃない」と言うのでしょう。

ギルバート氏らに「歴史修正主義者」のレッテルを貼ったという批判については、私は映画の中で「彼らは歴史修正主義者として知られている」という表現を使っています。従軍慰安婦の実態は「性奴隷」だった――それは世界的な共通認識です。彼らが歴史修正主義者と呼ばれるのは、そういった歴史認識を変えようと積極的に働きかけているからです。

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最終更新:7/14(日) 15:00
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