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電通・博報堂の良いところ・悪いところ:今日とは違う明日をつくり出すために

7/15(月) 18:10配信

DIGIDAY[日本版]

本記事は、zonari合同会社 代表執行役社長/アタラ合同会社 フェローの有園雄一氏による寄稿コラムとなります。

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「1クリック10円? そんな仕事ができるかよ。俺たちいくらの仕事をしてると思ってるんだ!」。

私は、大声で罵倒された。2004年のことだ。電通の人だったか、博報堂の人だったか、ここでは秘密にしておこう。私の仕事人生のなかで、忘れられない屈辱的な言葉だった。マス広告の感覚では、ネット広告の仕事は単価が安く、電通や博報堂の正社員がやる仕事ではない、と。

当時の私は、検索連動型広告の売り子として仕事をしていた。電通や博報堂の人に「ネット広告やデジタルマーケティングに興味を持ってもらいたい」と、いつも思っていた。そのため、仕事のストレスが溜まっていたと思う。というのは、基本的に、電通や博報堂の正社員からは、一部の人を除いて、まともに相手にされなかった。

ところで、念のため、言っておくが、電通も博報堂も、頭も性格もいい人が多い。Googleも優秀な人材が多かったが、お世辞でもゴマスリでもなく、電通・博報堂にも多い。なので、私を罵倒する言葉を吐かせたのは、私の態度に問題があった。「総合広告代理店を自負するなら、ネット広告でもトップになるべきだ。いまのままでは、電通も博報堂も、マス専業代理店だ!」。 そんな挑発をして、喧嘩することもよくあった。 「電通・博報堂が本気になれば、もっと売れるのに」と、怒りをぶつけていた(彼らとの衝突や摩擦を通じて、多くのことを学び、結果的に、私は育てていただいた。いまとなっては、電通・博報堂の懐の深さに感謝している)。

保守化する代理店の人たち

なぜ、こんな昔話をするのか。というのは、最近、この2004年当時のことを思い出させる出来事があったからだ。

GDPRや情報銀行、個人情報関連の動きに絡んで、私は最近、ネット広告代理店の人たちが保守化したと思っている。まるで、昔の、2004年当時の、電通や博報堂のようだな、と一瞬思った。つまり、既存のビジネスに固執し、明日のことは考えていないように見えたのだ。

私はGDPRや情報銀行のことを、この1年ぐらい、何度か記事で取り上げている。それに関してネット広告代理店の人から、このように言われた。

「有園さん、あんまりGDPRや情報銀行について、書かないでくださいよ。ネット広告市場が縮小したら困るじゃないですか!」。

たとえば、ネット業界は、消費者の知らないところで個人データを収集し、勝手にビジネスに使って莫大なお金を稼いでいるのではないか? そんな印象が広まって、NHKの「ネット広告の闇」みたいな番組が批判的な世論を形成し、広告主が出稿を控えたら、自分たちの既存のビジネスが縮小してしまう。それは困る。つまり、一番大事なのは、保身であり、いまの既存のネット広告ビジネスなのだ。既存のビジネスを優先し、固執する姿勢が、昔の電通・博報堂と同じだと思った。

「YouTubeは、違法動画ばっかり。電通では扱えないよ」。

2007年だったか? テレビ番組の違法アップロードが絶えなかったYouTube。既存のテレビ局との関係を考えると、その動画広告を、電通が積極的に扱うことはできない。テレビ局からクレームが来るだろうと。既存ビジネスを守ることが重要で、新しいYouTube広告は後回しにする。将来的にテレビ市場を脅かすかもしれないが、テレビ局との関係上、保身に徹する。そんな印象だった。

「スマートフォンは普及しないと思うよ。日本ではガラケーが強いからね」。

たしか、2009年だった。D2C(株式会社ディーツーコミュニケーションズ)の人から言われた言葉だ。私がGoogleを退職し、スマホのアドネットワーク会社「AdMob(アドモブ:AdMobはその後、Googleが買収)」に営業責任者として転職した時のことだ。D2Cは、ドコモなどガラケーの広告商品(既存ビジネス)をメインで扱っていた。だから、スマホには否定的にみえた。当時、一番積極的に売ってくれたのは、サイバーエージェントだった。

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最終更新:7/15(月) 18:10
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