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ジョコビッチが歴史的決勝でフェデラーに勝ち、5度目のタイトル [テニス]

7/15(月) 21:00配信

テニスマガジンONLINE

「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦7月1~14日/グラスコート)の男子シングルス決勝ーー競り、緊迫し、素晴らしかった4時間57分を通し、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)とロジャー・フェデラー(スイス)は前例のない第5セットのタイブレークが彼らの思い出深きウインブルドン決勝に決着をつけるまで、延々とプレーしながら交互にリードを交わし合った。

ウインブルドン2019|トーナメント表

 最後に勝者として浮上したのは、カムバックして7-6(5) 1-6 7-6(4) 4-6 13-12(3)でフェデラーを振りきったジョコビッチのほうだった。彼は、決勝でマッチポイントをしのいだあとにウインブルドンで優勝した71年ぶりの男となった。

「この手の試合でひとりが負けなければならないというのは、不幸なことだ」とジョコビッチはコメントした。

 最終セット8-7から2つのマッチポイントに直面したあと、彼は通算5度目、そして2年連続となるタイトルを獲得した。

 この勝利で彼は16度目のグランドスラム・タイトルを獲得し、テニス史上で彼の前にいるたったふたりの男にまた一歩近づいた。フェデラーは20タイトルを保持し、ラファエル・ナダル(スペイン)は18タイトルだ。

「僕はただ、本当に素晴らしい好機を逃してしまったと感じている」とフェデラーは漏らした。彼は実際、獲得ポイントの総数で218対204と、14ポイントも勝っていたのだ。

「信じられないよ」

 2000年代初めから、フェデラーはグラスコートを支配してきた。2003年からウインブルドンで8度優勝し、この試合は彼にとって記録的12度目の決勝進出だった。しかし今、ジョコビッチはフェデラーに対してウインブルドン決勝で3勝0敗であり、すべてのラウンドでの5セットマッチで4勝0敗だ。

 しかしながら、これは他のそれとは違っていた。

 これは、2009年ウインブルドン決勝でのアンディ・ロディック(アメリカ)に対するフェデラーの第5セット16-14の勝利を彷彿させるものだったとはいえ、そのスコアはもはや不可能だった。

 オールイングランド・クラブは今年から、“永遠に終わらない試合”を廃止するため、最終セットが12-12となった場合はタイブレーク(7ポイント先取、2ポイント差をつける)を実施するようルールを変更していたからだ。

 最終セットのあるポイントで、ジョコビッチは主審のダミアン・スタイナーに、“変更は10-10でタイブレークだったか”と尋ねた。その後、ジョコビッチが自分のサービスをキープして11-10とリードしたときには、今度はスタイナーが混乱し、“11-9”と言いかけて慌てて言い直した。

 このセットアップの変更をどう思うか聞かれたフェデラーは、「どんなルールであろうと受け入れる」と答えた。

「だから、それだけだ」

 決勝を戦ったフェデラーとジョコビッチは、技術同様にスタミナと集中力のテストとなったこの試合の中でお互いの限界を押し広げ合った。

 これは1870年から行われているウインブルドンの歴史上もっとも長い決勝であり、2008年のナダルのフェデラーに対する5セットの末の勝利の記録を9分破ることになった。

 その試合同様、この戦いも何年にも渡って語り継がれることだろう。

「僕は忘れるよう努めるよ」とフェデラーはジョークを言った。1ヵ月もしないうちに38歳になる彼は、勝っていればプロ化以降の時代で最年長のグランドスラム・チャンピオンとなっていたはずだった。

「素晴らしい試合だった。長く、すべてがあった。僕は僕なりのチャンスを手にしていた。彼も同様だった。僕らは素晴らしいテニスをプレーしたと思う。ある意味では、僕は自分のパフォーマンスをすごくうれしく思ってもいる」とフェデラーは表彰式の間に語った。

「でもノバク、おめでとう。すごかったよ。よくやった」

 まず、劣勢に陥り続け、それからカムバックし続けたのはフェデラーのほうだった。彼は3セットで勝つ可能性にさえかなり迫りながらも、2度に渡ってセットでリードされた。

 彼は第1セットで、7度に渡ってセットを取るまであと2ポイントのところにこぎつけたが、そうすることができなかった。彼は第3セット奪取まであと1ポイントだったが、そこでも一歩足りなかった。

 それからフェデラーは、第5セットのるつぼで先にブレークされた。そしてその後、8-7からの自分のサービスで40-15と勝利まであと1ポイントに迫り、優位に立ったかに見えたあとに彼はよろめいた。

 最初のチャンピオンシップ・ポイントでフェデラーはフォアハンドをワイドに外し、次のポイントではジョコビッチがフォアハンドでクロスのウィナーを決めた。ほどなくしてジョコビッチはブレークバックし、彼らはさらに45分間プレーすることになった。

「あれらのチャンスがあっただけに、辛い」とフェデラーは悔しさをにじませた。

 これ以前にもジョコビッチは、フェデラーに同じ苦しみを課した。2010年と2011年のUSオープンでも、ジョコビッチは2つのマッチポイントを消し去って巻き返し、そして勝っていたのだ。

 とはいえその日曜日、伝説のセンターコートの周りで鳴り響く音から明らかだったのは、観客の大部分が人気者のフェデラーを応援していたということだ。そのカリスマと優雅さで、フェデラーは遥かに多くの寵愛を浴びていた。それはあたかも、彼がスイス人ではなくイギリス人であるかのような有り様だった。

「ふたりとも愛してる!」と叫んだ者もおり、そのプレーの質の高さと攻勢と劣勢が絶え間なく行き来する流れを考慮すれば、それは適切な感情だった。

 とはいえ、「カモン、ロジャー!」の声は、ジョコビッチへの声援よりもはるかに多かった。比べ物にならないほどに。そう、彼らはこの試合最初のポイントでのフェデラーのサービスエースに大歓声を上げ、彼が勝負を第5セットに持ち込んだときにも歓喜の轟音を立てた。

 観客たちはフェデラーがボールを蹴ってボールボーイに渡したり、ジョコビッチのサービスがレットになって彼がラケットを背中の後ろに回して意味のないコンタクトをやって見せたときにさえ、拍手喝さいを送ったのである。

 それから、「あー!」という叫び。愛するフェデラーのバックハンドのミスや、ダブルフォールトに伴う落胆と悲しみのため息である非常に多くの「あー!」があった。

 フェデラーがたった一度しか相手にブレークポイントを与えなかった第4セットまでは、そんな具合だった。全世代を通して最高のリターンの名手と呼べるジョコビッチに対し、それは小さな成果ではない。フェデラーはそのセットでワンブレークを許したにも関わらず、勝負を第5セットに持ち込んだ。

 こうして、すでに見ていて非常に楽しく壮観だった試合はとてつもなくワクワクするするものになったのである。

 だからといって、テニスが完璧だったわけではない。というのも双方が、疲労と、おそらく精神的緊張感の兆候を見せ始めていたからだ。

 第5セットで放ったフェデラーの凡庸なアプローチショットが、ジョコビッチにブレークして4-2とリードするための突破口を与えた。次のゲームでのジョコビッチのダブルフォールトは、フェデラーのブレークバックを助けた。続くエンドチェンジの間には、双方の名前を呼ぶ観客の声のフーガが鳴り響いていた。

 新しいタイブレークが第5セットをそれだけで2時間以上に持ち込んだ中、そこでよりいいプレーをしたのがジョコビッチだった。フェデラーのフォアがラケットのフレームに当たるミスショットとなった瞬間にそれは終わり、ジョコビッチにセンターコートの芝を指でむしり、それを噛むという彼の個人的伝統をふたたび行うことを許したのだった。

「絶え間のないプレッシャーだった」とジョコビッチは振り返った。

「僕は試合の中にとどまるために戦い、自分のテニスを見つけなければならなかった」

(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

LONDON, ENGLAND - JULY 14: Novak Djokovic of Serbia takes a moment to reflect after beating Roger Federer of Switzerland in the Final of the Gentleman's Singles on Day Thirteen of The Championships - Wimbledon 2019 at All England Lawn Tennis and Croquet Club on July 14, 2019 in London, England. (Photo by Visionhaus/Getty Images)

最終更新:7/15(月) 21:00
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