ここから本文です

「とてもかわいらしい方ですね」天皇が抱いた第一印象と、雅子さまの使命感

7/15(月) 5:30配信

文春オンライン

令和の皇后となられ、ご成婚時の輝くような笑顔を、取り戻されつつある雅子さま。
新皇后の半生を徹底取材した決定版『 皇后雅子さま物語 』(文春文庫)から、新皇后の「あゆみ」を特別公開します。 

【写真】友人の別荘を訪ね、料理の腕をふるう雅子さま

◆ ◆ ◆

天皇陛下と雅子さまとの出会い

 ショートヘアにイヤリングを付け、光沢のあるワンピースを着た雅子さんは、東宮御所の受付に置かれた芳名帳の恆さんの名前の左側に、「雅子」と書いた。東宮側の招待客リストには送付した夫妻の名前だけで、同伴家族の名前はなかったため手書きで加えられたのだった。

 1986年(昭和61年)10月18日土曜日の午後3時。スペインのカルロス国王の長女・エレナ王女の歓迎パーティのお茶会には、120人近くが招待されていた。受付をすませて、真っ直ぐ行くと左手に談話室がある。隣の大食堂とは普段、可動式の壁で区切られているが、この日は壁が取り払われ二間続きになっていた。部屋は庭に面しており、窓が開放され、招待客は庭にも溢れている。賑やかな談笑に寄り添うように、ベルの音が印象的に響くクラシック音楽が流れていた。秋の柔らかな日差しが室内にそっと差し込んでいる。

「お后候補」として推薦されての”出会いのパーティー”

 会場には既に、皇族と交流のある学者、宮内庁・外務省職員、スペイン国関係者などの姿があった。恆さんと同じように家族同伴で来ている人たちもいて、年頃の女性が40人ほど、中には着物姿の人もいたという。彼女たちもまた徳仁親王殿下(浩宮)との自然な出会いを期待されていた。

 パーティはカジュアルな雰囲気で、平服の装いに飲み物と軽食が用意された立食スタイルだった。雅子さんが招待客の人数に圧倒されながらも奥に進み、オレンジジュースを手にした時だった。声を掛けてきたのは、中川融氏だった。宮内庁から依頼を受けた中川氏が、雅子さんを浩宮のお妃候補として正式に推薦したのが3カ月前のことだったのはすでに述べた。ようやくこの日、浩宮と雅子さんは初めて会う。中川氏や安嶋彌(ひさし)東宮大夫は、二人の出会いに大きな期待を寄せていた。

 恆さんと雅子さんはそういった意味のあるパーティであることなど、知る由もなかった。生前の取材で中川氏はこう語っていた。

「恆さんは、雅子さんが外交官になったことよりも、社会に羽ばたこうとしている成長ぶりの方が親として嬉しかったのでしょう。言葉に出すことはありませんでしたが、雅子さんとの会話や雰囲気などから喜びがにじみ出ていました。そんな状況の中で、雅子さんがお妃候補のひとりだったとは、想像もしていなかったと思います」

 エレナ王女が浩宮にエスコートされ、パーティの会場に到着すると、招待客から一斉に拍手がまきおこった。雅子さんは緊張した。同じ年頃の王女の美しさと浩宮の存在感に魅入られたのではないだろうか。

1/3ページ

最終更新:7/16(火) 0:30
文春オンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事