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家庭内暴力で離婚を決意したが…夫は「ガン」が発覚し、死亡

7/15(月) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

結婚、離婚、親子、養子、扶養など、個人と家族に関する法律を対象とする「家族法」。私たちの日常生活と密接に関係した法律であり、その理解は欠かせません。本連載では、書籍『知って役立つ! 家族の法律――相続・遺言・親子関係・成年後見』(クリエイツかもがわ)より一部を抜粋し、結婚・離婚と親子関係にまつわる法律をわかりやすく解説します。

「死後離婚」?配偶者が死亡しているケース

●DV(家庭内暴力)で離婚を決意したが、夫がガン末期

小出五月さん(旧姓:永野)は夫の小出浩さんとの離婚を考えていました。五月さんへのDVだけでなく、高校生の長男への暴力もあったからです。DVはいつもあるわけではなく、飲酒後がひどく普段は優しいところもあるので「私さえ我慢すれば」と思っていました。また長女には手を出しませんでした。

ある日酔っぱらった夫が長男を殴りつけ、長男も反撃しました。体力のある長男は夫に負けていません。五月さんはこのままでは夫と長男のどちらかが「殺人者」になりかねないと思って、いよいよ決意を固めました。

ところが、医者嫌いの夫が「体調が悪い」と受診したところ、ガン末期で手術もできず即入院となりました。五月さんは「こんなときに離婚を切り出せない」と思って夫の看病を続けましたが、数か月後に夫が亡くなりました。五月さんと夫の親兄弟との関係もよくなく、葬儀やお墓のことでゴタゴタが続きました。

●「死後離婚」

五月さんはどこかで「死後離婚」ということを聞いたことがあるので、そんなことができるのだろうかと調べてみました。答えは「夫婦関係は配偶者が死亡した時点で法律上当然終わるので離婚届を出す必要はない」「死後離婚という制度はない」ということでした。

●死亡による婚姻の解消

配偶者の死亡による婚姻解消の場合は離婚の場合と扱いが異なります。

(1)生存配偶者が婚姻によって氏を改めた者である場合、そのまま婚姻中の氏を称するか、婚姻前の氏に復するか自由に選択できます(民法751条1項)。

(2)姻族関係は当然には解消しません。「姻族関係終了届」を出すことによって終了します(民法728条2項)。

(3)婚姻中の氏を称しながら姻族関係を終了させたり、婚姻前の氏に復しながら姻族関係を存続させることもできます。姻族関係を存続させながら再婚することもできます。

(4)死亡した配偶者の親族側からは生存配偶者との姻族関係を終了させることはできません。

(5)上記はいずれも相続関係とは別問題で、氏をどうするか、姻族関係をどうするかにかかわらず、相続は発生します。

●五月さんの選択

(1)五月さんは復氏して永野五月に戻り、「姻族関係終了届」を提出して夫の親兄弟との縁も切りました。これを俗に「死後離婚」と呼ぶのでしょうか?

(2)一方、長女・長男は夫の戸籍に残り、小出を名乗り続けることにしました。しかし、世帯主は永野五月さんです。なお、長女・長男は「戸籍」の選択にかかわらず「姻族関係」を終了させることはできませんし、相続関係も変わりません。つまり、祖父母等と「縁を切る」ことはできないのです。

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最終更新:7/15(月) 11:00
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