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場所、時間、雇用形態… 境界があいまいになる新しい働き方の組織とは

7/15(月) 10:00配信

Forbes JAPAN

私はリモートワークを中心とした人材事業を手がける「キャスター」という会社と、その子会社である「働き方ファーム」を通じて、これからの新しい働き方時代において「ボーダレス組織」という組織形態が必要だと提唱しています。

この聞きなれない「ボーダレス組織」とは何か? 簡単にご説明しましょう。

私たちは、働く場所や雇用形態、フルタイムかどうか、社内か社外かといった従来の組織における基準や境界をあえてあいまいにし、役割とゴール(目標)にフォーカスした会社運営を行う新しい組織の形を総称し、ボーダレス組織と呼んでいます。

ボーダレス組織がなぜ必要なのか。

私はリクルートでキャリアをスタートさせて以来、事業会社の人事責任者やHR事業に10年以上携わってきました。現在も中小企業やスタートアップを中心に100社以上の採用に携わってきましたが、採用市場のど真ん中にいるからこそ、社員だけを採用し育てるといった従来型の組織運営は、サステイナブルではないのではないか、と考えています。

具体的には「人口減少による慢性的な人手不足」と「働き方の自由化」という2つの大きなマクロ観点から考えた場合、今までの「採用至上主義」(外注より内製化の方が良い、社員が一番コミットしてくれるという前提に立った「採用」ありきでの組織運営の考え方をこう呼んでいます)を脱却しないと、組織運営のスピードが落ち、事業拡大のボトルネックになり得る時代に突入していると感じることが増えてきました。

慢性的な人手不足の結果、何が起きているか。

有効求人倍率は上がり続けていて、2018年では1.68倍。この内訳を見てみると5000名以上の大企業は0.3倍、逆に300名以下の中小企業は9.91倍ととんでもない格差になっています。

構造的に「慢性的な人手不足」の状況が続く

中小企業では1人の求職者に対しておよそ10社が競合するという状況ですから、なかなか良い人が採用できない、というのがもはや当たり前。

日本の企業の数十パーセントを占める中小ですらこのような現状なわけですから、日本中ほとんどの会社で優秀な人材を採用することがほとんど不可能に近い状況になっているのです。

人材市場は「売り手市場」と「買い手市場」を交互に繰り返しながら成熟してきましたが、今までと違うのは「人口減少」というフェーズに入っていることです。企業が欲しがるのは常に20代、30代の若手ですが、その若手がどんどん減っていき、今後増える見込みはほとんどありません。まさに構造的に「慢性的な人手不足」の状況が続いていくのです。

一方、個人の側で見ると、フリーランスや副業など「新しい働き方」と言われる働き方を選択している人は2018年には1119万人と2015年の913万人から約200万人も増えています。(ランサーズ「フリーランス実態調査2018」)

今は実施していなくても、今後「副業や兼業をしてみたい」と回答している人の割合は約40%にのぼります。(みずほ総合研究所2018年10月15日「副業・兼業の広がりの可能性」)

また2019年4月1日に施行された通称「働き方改革法案」によって1人あたりの残業時間が規制されることで働く時間は短くなっていくことも予想され、生涯1社だけで働く人が減っていく流れは、今後ますます加速することになると予測されます。

この2つの流れは不可逆的な流れであり、これまで当たり前と思われていた「週5日フルタイムで働いてくれる社員を採用する」という企業活動が極めて難しくなり、採用のために企業がかけないといけない時間や労力は右肩上がりで上がっていくことになります。

結果として、「オフィスに出社し、週5フルタイムの社員が当たり前でそれ以外は少数派の組織」から「働く場所も時間も雇用形態も多様であり、従来あった境界があいまいな組織」へ転換していかなければ会社組織は成り立たない──そんな時代に突入し、経営者や人事の考え方や組織運営方法自体も変えていくことが求められていきます。

この連載では、新しい働き方時代の組織である「ボーダレス組織」の運営方法や、そのメリット、デメリット、課題などについて具体的に書いていければと思います。

石倉秀明

最終更新:7/15(月) 10:00
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