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ほかに行ってと言われ…災害時に「避難所」が満員だったら、どう行動すべき?

7/15(月) 6:40配信

オトナンサー

 7月初め、鹿児島県を中心に大雨が降った際、鹿児島市が市内全域の約59万人に避難指示を出すなど各地で避難指示や勧告が出されました。実際に避難した人も多かったようですが、避難所に着いた際、「満員なので、ほかの避難所に」と言われて、別の避難所に移動した人や自宅に戻った人もいたようです。台風や大雨に避難指示や勧告はつきものですが、全住民分の避難所を確保できている自治体はほとんどないようです。

 ようやくたどり着いた避難所で「満員です」と言われたとき、どうすればよいのでしょうか。防災に詳しい、名古屋大学未来社会創造機構特任准教授の島崎敢さんに聞きました。

複数の場所について判断する自治体

Q.避難所が「満員」というのは、一般にどのような状態でしょうか。

島崎さん「各自治体は避難所の設置基準として『1人当たり何平方メートル』という基準を決め、避難所ごとに使える床面積から収容可能人数を出していることが多いです。その人数が避難所に来た状態が『満員』です。ちなみに、毛布や食料の備蓄は、面積の基準に従って人を入れると全く足りないことも珍しくありません。実際に避難してくる人が極めて少ないのが通常だからです」

Q.避難所が満員で入れないと言われた場合、どのようにすればよいのでしょうか。

島崎さん「そもそも何の目的で避難所に来たのかを考えれば、おのずと答えが出るように思います。自分や家族の命を守るために逃げてきているわけで、そのために最善の選択肢を選ぶべきです。『避難所に来たら、自宅へ戻る道はもう水浸し』ということもあると思うので、『必ずこうしましょう』という答えはありません。そのときにできる最も安全と思われることをする、最も安全と思われる場所に行くというのが正解ではないでしょうか。

例えば、満員で入れなかった避難所のある場所がやはり安全なら、そこの軒先でやり過ごすのも一つの方法です。もちろん、他の場所に移動した方が安全なら移動すべきです」

Q.全住民分の避難所を確保できている自治体はほとんどないと思われます。物理的に入れない可能性があるにもかかわらず、広域に避難勧告、指示を出すのはどうなのでしょうか。

島崎さん「一つの自治体の中でも、浸水の有無などリスクが場所によって違う場合、理想としては、危険な場所の人だけに避難勧告・指示を出すべきでしょう。しかし、危険な場所が多ければ、複数の場所についての判断を同時に迫られ、判断基準もその数だけ作る必要があります。避難対象かどうかが明確になるような情報発信も必要になり、行政の負担が大きくなるので、現実には対応しきれない自治体も多いと思われます。広域に避難勧告や指示を出すのはやむを得ないことかもしれません。

それに、大規模河川が決壊したら、市内がすべて浸水する恐れがある自治体もあります。その場合は、市内全域に指示や勧告を出さざるを得ないでしょう。例えば、埼玉県草加市は、台風接近時や大雨が予想される際、隣の川口市の高台に避難するよう住民に広報しています。

避難勧告や指示の目的も、先述の通り命を守るためなので、そこにいたら命が危険にさらされる人に対しては、たとえ避難所へ物理的に入れないとしても勧告や指示を出すべきです。そうした意味では、避難所が足りない状態で勧告や指示を出すことが無責任だとはいえません」

Q.避難所が満員の場合、雨中の移動は危険な場合があります。住民、行政それぞれが取るべき行動は。

島崎さん「住民は先述のように、そのときの最善の判断をしましょう。自治体は、移動することで命の危険があると判断するなら、満員の避難所であっても、少し詰めてもらって詰め込んだ方がよいですし、移動による危険が少ないのであれば、他の避難所を案内するという選択肢も検討すべきでしょう」

Q.災害時の避難所運営について、自治体側が心掛けるべきことは。

島崎さん「柔軟に対応することです。定員も厳密でなくてよい場合もあります。ルールの言葉一つ一つよりも、やろうとしていることが『命を守る』という目的に合っているかをまず考えるべきです。周りも、そのとき一生懸命考えて『最善』の判断をして、たとえ結果がネガティブであったとしても責めないことです。

非常時なので、計画通り、ルール通りにやっていてはうまくいかないことがたくさんあります。最後に頼れるのは、そこにいる人の考える力、乗り越えようとする力です。それをつぶさないように、固いことは言わずに、柔軟に、臨機応変に最善の対応をしようとすること、そういう人をサポートすることが大切ではないでしょうか」

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最終更新:7/20(土) 12:18
オトナンサー

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