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BiSH・モモコグミカンパニーが語る作詞への想い「人が一番弱っているときに支えてあげられるものに」<単独インタビュー>

7/15(月) 21:00配信

ザテレビジョン

デビューから快進撃を続けてきた6人組の“楽器を持たないパンクバンド”BiSH。活動5年目に突入する彼女たちは、これまで「横浜アリーナ」や「幕張メッセ」でのワンマンライブを成功させたほか、ロックフェスへの出演や、名だたるロックバンドとの対バンを多数行うなど、音楽シーンにおいて独自の存在感を放っている。

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そんな彼女たちが、メジャー3rdアルバム「CARROTS and STiCKS」をリリース。BiSHの過激さ、攻撃性を前面に打ち出した「STiCKS」EPの4曲、明るさ、ポップさを前面に打ち出した「CARROTS」EPの4曲を含む全14曲が収録され、BiSHの過激さとポップさの両面が凝縮されたアルバムになっている。リード曲「DiSTANCE」は杉野遥亮初主演連続ドラマ「スカム」(毎週日曜夜0:50-1:20、MBSほか)のエンディング曲に起用されている。

4人がソロデビューを果たすなど個性あふれるメンバーの中で、作詞を数多く担当し、複数の媒体で連載を持つなど、その文才を発揮しているのがモモコグミカンパニーだ。読書家としても知られ、彼女がBiSHの歴史や活動する中での葛藤を綴った著書「目を合わせるということ」は発売から約1年半で7刷が決定している。

本作では、「CHOP」と「まだ途中」の2曲をモモコが作詞。今回、この2曲の歌詞に込めた想いや、彼女の作詞への姿勢、そして、BiSHとしてステージに立つことへの気持ちを聞いた。

■ 「CHOP」は「BiSHの楽屋」がテーマ

――メジャー3rdアルバム「CARROTS and STiCKS」をリリースされました。ご自身としてはどんなアルバムになったと思いますか?

BiSHは今年で5年目になるんですけど、これまでのBiSHの生き様が全て現れているアルバムになっていると思います。今回は先に「CARROTS」と「STiCKS」っていう2枚をAppleMusicで配信していて、「CARROTS」は明るくて綺麗なBiSH、「STiCKS」は汚くてガチャガチャしていて売れなそうなBiSHの曲が入っているんですけど、今回の「CARROTS and STiCKS」は、その両面、BiSHの全てを吐き出したアルバムになっています。

――これまでのBiSHにあった二面性をより明確に打ち出していると。

そうですね。BiSHは二面性があるグループだと思っていて、アー写も「CARROTS」と「STiCKS」で全然違う表情になっています。どっちが本当のBiSHかっていうのは、お客さんの好みもあると思うんですけど、人間は暗い時も明るい時もあって、BiSHはその両方を隠さずに出しているグループだと思っています。

――今回のアルバムでは「CHOP」と「まだ途中」の2曲をモモコさんが作詞されています。

BiSHは「作詞してください」ってデモ音源が送られてきて、こちらから歌詞を送ってコンペ形式で採用されるんですけど、「CHOP」はすごく好きだなって思ったので、聴いてすぐに歌詞を書いてプロデューサーの渡辺(淳之介)さんに送りました。曲調はすごく明るくてポップなんですけど、声にはディストーションがかかっていて、それが今のBiSHっぽいなって思っています。歌詞は「意味なく死にたくなる」とか「掃き溜め戦争」とか暗い感じなんですけど、曲調がアップテンポなので、そんな歌詞でも暗くなりすぎない曲だなって思います。「CHOP」のテーマは「BiSHの楽屋」で、全く個性の違う女の子たちがほぼ毎日一緒にお仕事をしていて、みんなとお話ししたい子もいれば一人になりたい子もいるんですけど、それが一個に束ねられている今の楽屋の状況がすごく面白いなって思って書きました。

――今の「BiSHの楽屋」の様子が歌詞に表れていると。

みんなで5時間くらいスタジオにこもって練習した後に、一人でご飯食べに行った机の上で書いたので、6人でいる時の空気をそのまま持ってきた状態で書けました。冒頭の「あの子もこの子もわがまま放題」はBiSHのことだし、外から見たら「ダメでしょ、ちゃんとしなさいよ」って感じだけど、それも含めて面白いし、6人楽屋にぎゅうぎゅう詰めだけど楽しいねっていう感じを出したくて。BiSHで5年やってこなければ書けなかった歌詞だなって思うし、BiSHの生き様を表現できた気がしています。

――もう1曲の「まだ途中」は「CARROTS」にも収録されていた綺麗な曲です。

「まだ途中」は「CHOP」とは対照的にBiSHのことを書いた訳ではなくて、私の身近な友達が夢を追いかけていたけど、諦めて涙している姿を見て、背中を押したいなって思ったところから湧き出てきた歌詞です。何かにつまずいたら、自分では「人生の終わりだ」くらいに考えたりしちゃうと思うんですけど、外から見たらまだまだ続いていて。だから、「まだ途中」って思ったら前に歩けるんじゃないかと思って、そういう人たちの背中をどうにか押せないかなって考えて書いた曲です。

――「まだ途中」は過去のモモコさんやBiSHに向けて書かれているようにも感じました。

そうですね。自分が書く歌詞って、人のことを書いているようで結局自分のことを書いている時が結構あるなって思っていて。この曲も出来上がって聴いてみたらBiSHにも当てはまるし、自分自身にも当てはまるなっていうのはすごく思います。BiSHもいろいろやってきたけど、全然まだ途中なので、前を向いて歩けたらいいなと思います。

■ 「BiSHのモモコグミカンパニー」にしか出せない言葉を使いたい

――今回の2曲以外にも、BiSHの楽曲の歌詞を多く手掛けられてきましたが、作詞するときに心がけていることはありますか?

作詞家さんは世の中にいっぱいいて、私よりも上手く書ける人は他にもたくさんいるので、「BiSHのモモコグミカンパニー」にしか出せない言葉を使いたいなっていうのは常に思っています。例えば、「CHOP」の歌詞はBiSHの中にいて、メンバーと一緒に過ごした人じゃないと書けないなって思っていて、どれだけ上手い言葉を使える作詞家さんでも出せない言葉なんじゃないかと思います。だから、今の自分にしか書けない言葉っていうのはすごく大切にしています。

――今回の「CHOP」と「まだ途中」は対照的に感じますが、モモコさん自身にも二面性があると思いますか?

そうですね。どちらも本当の自分なんですけど、「SHARR」とか「CHOP」とか汚い方が自分らしくいられている気はしています。今の自分のことを書くと、攻撃的な歌詞になることが多いですね。ずっと忙しくて楽屋もぎゅうぎゅう詰めで「やってられっかよ」みたいな気持ちを隠さず出したいっていう思いがあって。逆に、未来のこととか、誰かの為に書こうって思うと「まだ途中」とか「Nothing.」みたいに綺麗だったり、明るい感じの歌詞になりますね。

――プロデューサーの渡辺さんは「BiSHのキレッキレジャパン」(GYAO!)の中で、サビから歌詞を作ると話されていましたが、モモコさんはいかがですか?

私は渡辺さんとは違ってAメロから順番に考えますね。渡辺さんの歌詞は今回のアルバムでも多いんですけど、いい意味で一貫性がなくて、でも引っかかるワードがすごくあるんですよね。どこから聴いても面白いし、聴く人の想像力を掻き立ててくれるっていうのが渡辺さんの歌詞のいいところだと思うんですけど、私は歌詞に一貫性を持たせたくて。自分も泣きそうでどうしようもなくて、でも誰にも話せないときに歌詞が助けてくれたっていうことがたくさんあるので、人が一番弱っているときに支えてあげられるものにしたくて、一曲まるまる一貫性を持たせたいと思っています。

――弱っている人を助けられるような歌詞にしたいと。モモコさん自身は、過去に高橋久美子さんの歌詞に救われたと言われていましたね。

チャットモンチーが昔から好きで、曲を聴いて泣いたこともあるし、助けられたことがたくさんあるんですけど、高橋さんの書く歌詞は文学的ですよね。詩集を聴いているような感覚にもなるし、素敵ですごく好きです。「CAT WALK」っていう曲が好きで、「私がいなくなっても世界はどんどん進んでいっちゃう」っていう暗い曲なんですけど。でも、私がいなくなっても、世界の中で私と関わってきた人たちの頭の中に私と関わった思い出は生き続けるっていう歌詞で、私は昔から生きている意味とか考えなくてもいいようなことを昔から考えてしまうんですけど、その答えをこの曲で見つけたような気がしました。

■ 同じ人間じゃないと伝わらない

――歌詞の他にも、本を出したり、連載を持たれたりしていますが、今後文章のお仕事でやってみたいことはありますか?

そうですね……それが別になくて。私は個人的には書くのが上手い人だとは思ってないんですよね。歌詞を書けるような人になれたらいいなってずっと思っていて、BiSHに入ってその夢が叶って、他にもできることが少し増えてきたってだけで、作家ではないなって自分で思うので。まだまだBiSHに助けられていて、BiSHのモモコグミカンパニーでしかないというか、何者でもないような気がしています。

――モモコさんは「BiSHのモモコグミカンパニー」という存在を客観的に見られている印象があります。大学の卒業論文でも「アイドル」をテーマにBiSHの活動についても書いたと以前話されていました。

大学に入った後にBiSHに入って、どっちの活動も並行してやっていて、その時に「普段の自分」と「モモコグミカンパニーとして見られている自分」、どっちが本当の自分なんだろうってすごく考えてしまった時期があって、それをそのまま卒論にした感じです。アイドルは「偶像」とか「虚像」みたいに言われて、お客さんの中でイメージが膨らんでいった結果、その人の本当の人格は誰も知らないっていうような現象に興味があって。自分はどうなんだろうとか、BiSHのメンバーはどうなんだろうって思って個人的にみんなにインタビューしたりして書きました。卒論を書いてから、私は人間でありたいんだなっていうのはすごく思いましたね。もともときらびやかな人になりたいっていう願望があんまりなかったし、同じ人間じゃないと歌詞を書いたりしても伝わらない気がするので。本当の自分は見られたくないっていう演者の方もいると思うんですけど、私はどんどん心の内を出したいなって思っています。

――人間らしさを出していきたいと。著書の中でも「自分の弱さをさらけ出すことは同じ弱みを持つ誰かを救うことであると気づきました」と書かれていました。

そうですね。自分がステージに立つ意味ってなんだろうって思って、周りには歌唱力がある子とかダンスが上手い子ばかりで、自分には何ができるか本当に見つけられなくて。でも、表に出ているからこそ、カッコつけるよりも弱さとか悔しさとか本当の感情を出していけたら、見ている人の糧になれたり、勇気づけられるんじゃないかって思って。自分もそうだったので、そういう人になりたいなって思っています。

■ バラエティ映えするグループだと思っています

――最近では「しゃべくり007」(夜10:00-11:00、日本テレビ系)などバラエティ番組にも出演し、新しい人たちに知られる機会も増えてきていると思います。実際に出てみていかがでしたか?

テレビって本当に難しいなって思います。収録ではいっぱい喋ったのに、放送では一言も喋ってないことになっていたりとか(笑)。「しゃべくり007」は私名前言っただけなんで(笑)。でもBiSHって意外とバラエティ映えするグループなんじゃないかって思っています。楽曲とかライブを褒めていただくことは多いんですけど、個性の違う6人がいて、楽屋の会話も面白かったりするしそういう一面をテレビで見せられると強いなって思います。

――ぜひ見てみたいです。では、最後に9月23日(月)に大阪城ホールで開催されるワンマンライブ「And yet BiSH moves.」について意気込みをお願いします。

BiSHは関東では横浜アリーナや幕張メッセでライブをやったことがあるんですけど、関東以外では初めてのアリーナ規模のライブで、アイナ(・ジ・エンド)の地元の大阪っていうのもあるので、気合が入っています。ぜひ見に来てください。(ザテレビジョン・取材・文=岩本侑也)

最終更新:7/26(金) 21:09
ザテレビジョン

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