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日本で幼児教育を「義務教育」にできないわけ

7/15(月) 5:50配信

東洋経済オンライン

 7月21日に投開票される参議院議員選挙。与党は、10月に予定通り消費税率を10%に引き上げるとともに、その増税財源で幼児教育の無償化を実施することを公約に掲げている。

 2017年9月に衆議院を解散する際、10%への消費増税分の使途を変更し、教育無償化にも充てると安倍晋三首相は明言した。その衆院選で与党が勝利し、3歳から5歳までのすべての子どもたちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化することを2017年12月に閣議決定した。

■教育無償化と義務教育化には違いがある

 フランス議会上院では7月4日、義務教育を現在の6歳から3歳に引き下げる法案が賛成多数で成立し、今年9月の新学期から実施されることが決まった。義務教育を3歳からとする国は、ハンガリーに次いで2カ国目という。義務教育開始年齢の引き下げはマクロン大統領による改革の一環として提案された。これにより教育の不均衡を是正したい意向だ。

 わが国も、日本国憲法で義務教育は無償とするとしている。3歳からすべての子どもたちの教育を無償にするとうたうのであれば、なぜ「義務教育は3歳から」と言わないのだろうか。

 実は、教育無償化と義務教育化には、かなりの隔たりがある。

 日本国憲法では義務教育は無償とするとしており、授業料が無料でないと義務教育にはならない。ただ、授業料を無料にしたからといって、必ずしも義務教育になるわけではない。

 義務教育とは、一義的には親に対して子に教育を受けさせる義務を負わせることだ。日本国憲法でも、国民の義務として教育を受けさせる義務を規定している。それが全うされなければ、いかに教育費が無償になっても義務教育とは言えない。別の言い方をすれば、子を任意で通わせた学校の教育費が無償だからといって、その学校教育を義務教育とは言わないのである。

 今般、フランスが義務教育を3歳からとした背景には、97.6%の3歳児が、日本の幼稚園にあたる保育学校に通っている現状がある。3歳児を通わせるのは任意である状況でこれほどの通学率だから、親の教育を受けさせる義務という点で、3歳から義務教育にしてもほとんど支障がないとみられる。ただ、貧困地域では6歳未満で保育学校などに通う子どもの割合は高くないのが実情である。

 さらに、フランス政府の意図として、この義務教育の開始年齢引き下げによって、生まれた家庭の事情にかかわらず、皆が公平に人生のスタートラインに立てることを目指している。

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最終更新:7/15(月) 5:50
東洋経済オンライン

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