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【HRカンファレンス2019春】一橋大学大学院 楠木 建氏による基調講演 「戦略のクリティカル・コア:究極の競争優位を考える」

7/16(火) 7:30配信

日本の人事部

HRの世界では次々と新しい手法や制度が生まれ、企業に取り入れられていく。しかし、どの企業も同様の成果が得られるとは限らない。その違いは、持続的な利益獲得のための競争優位を生む「競争戦略」にある。競争戦略において人事が学ぶべきエッセンスを、一橋大学大学院教授・楠木建氏が論じた。

「程度」と「種類」という二つの違い

企業の戦略のゴールは長期利益だ。競争がある中でそれを生み出すのが「競争戦略」である。最終的な結果として長期利益を目指せば、企業価値は高まり、労働市場でも優位性を得て、従業員満足度や顧客満足度にも結びついていくと楠木氏は語る。

「競争に勝つには何が必要かというと、違いがあるから選ばれる、という単純な話に尽きます。どこの企業も競争相手に対する違いをつくっていると思いますが、競争戦略では、違いを二つに分けて考えています。一つが、Operational Effectiveness。頭文字を取ってOEと言っていますが、これは『どちらがBetter(ベター)なのか』という程度の違いを指します。例えば人間でいうなら、視力、足の速さといったもの。物差しを基準に、どちらがBetterか把握できます。もう一つが、Strategic Positioning。SPと略して、種類の違いを指します。物差しのないDifferent(ディファレント)だと考えてください。例えば、人間でいうなら性別。山田さんは鈴木さんよりも45%ほど男性だ、といった考え方ができない違いです」

競争戦略で意味のある違いはSP、すなわち他社に対するDifferentである。Betterで表現されるOEは、必ずしも戦略にはならない。なぜなら、「1日10分でダイエットできる」という本が売れたとしても、「1日5分でダイエット」「1日3分でダイエット」と次々にベターが出てきてしまう。短期的な利益は得られるとしても、イタチごっこを持続しなければならなくなる。

「OEのより深刻な問題は、終わりがあること。1980年代までは旅客機のリクライニングシートの最大角度は135度でした。ところがその後、155度まで倒せるシートが導入されて人気になりました。その次は165度のシートが出て、ついに世界初のフルフラットシートが登場。物理的にこれ以上の角度にはできません。ここがBetterの終わりです。現実的には『物理的な終わり』よりも早く、『認知上の終わり』がきます。例えば、ヘッドホンの音質はどんどん良くなっていますが、普通の耳を持ったユーザーにとっては、ある音質以上になると違いが認知できません。いくら優れた音質の商品が開発されたとしても、その時点でBetterの終わりが訪れるわけです」

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最終更新:7/16(火) 7:30
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