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エキゾチックペット取引が絶滅危惧種を増やしている

7/16(火) 7:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

ペットを自然に放してはいけない、その理由

 6月10日、米マサチューセッツ州環境警察(同州で環境やレクリエーションを管轄)は変わった通報を受けた。「自宅の裏庭に約1メートルのトカゲがいるというのです」と、同警察のタラ・カーロー警部補は振り返った。

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 マサチューセッツ州チコピーにある現場に到着した警察官が目にしたのは、不機嫌そうな顔をしたこの家の住人と、大型のトカゲ、アルゼンチンテグーだった。南米各地の熱帯雨林や平原が原産のトカゲで、体長1.2メートルを超えることもある。

 だが、それがチコピーに現れても、カーロー氏は驚かなかった。「この手の通報は、年に1回はあります」

 マサチューセッツ州ではアルゼンチンテグーは広く売られており、一般の人が所有するのに許可はいらない。テグーは脱走の名人だとカーロー氏は言い、逃げ出したテグーが見つかるのも決して初めてではない、と続けた。

理解しないまま購入する人々

 どういう事態が起こるか理解しないままエキゾチックペット(風変わりな野生動物のペット)を購入する人が少なくないと、カーロー氏は指摘する。テグーのほかニシキヘビやオウム、フクロモモンガなど、多くの動物がエキゾチックペットとして売られているが、中には20年以上生きるものもいる。長命のエキゾチックペットを世話するには費用がかかるうえ、危険な場合もある。飼われることに慣れていない動物は、予想外の行動に出ることがあるからだ。非営利団体「ボーン・フリーUSA」によると、1990年以来、米国で少なくとも300人がエキゾチックペットに襲われている。

 エキゾチックペットが脱走したり、飼い主が野生に放したりするのはそういう理由だ、とカーロー氏は話した。

 だが、ペットが野に放たれると、大きな問題を引き起こしかねない。自由になった動物が繁殖し、「侵略的外来種」と化す可能性があるからだ。侵略的外来種とは、外来生物のなかでも、その土地の自然で繁殖することで、本来の生態系を脅かしてしまう生物を指す。

 今やエキゾチックペットの取引は、侵略的外来種が拡大している大きな原因の1つに数えられるとする論文が、学術誌「Frontiers in Ecology and the Environment」に6月3日付けで掲載された。論文によると、エキゾチックペットの取引は数百の侵略的外来種の定着につながっているのに加え、今後さらに多くの種の定着を招くだろうという。

「エキゾチックペットの取引がどれほど大規模になっているか、多くの人が十分に把握していないと思います」と、論文の筆頭著者で、米ラトガース大学生態・進化・自然資源学部のジュリー・ロックウッド氏は話す。「世界規模で取引される脊椎動物の量は衝撃的です。この問題を比較的長く研究してきた生物学者から見てもそうです」

 侵略的外来種は、世界中で生物多様性が失われている2番目に大きな要因とされている。これによって米国が被っている損失は年間1200億ドルと推定され、米国で絶滅危惧と指定されている種のうち40%以上は、侵略的外来種が原因だ。侵略的外来種は、生息地を様変わりさせ、食物連鎖を壊し、餌となる生物たちを食べ尽くし、捕食者の数を減らす。

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