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プレミアリーグ、ついにVAR導入で価値下落の選手も!? PK増加は確実…どんな変化が起こるか

7/16(火) 10:11配信

フットボールチャンネル

 来月開幕を迎えるイングランド・プレミアリーグでは、とうとうVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が導入される。このルールチェンジによってプレミアリーグにはどのような変化が起こるのだろうか。(文:プレミアパブ編集部)

●メッシの発言もありVARに注目が

 日本代表の参加によりいつになく日本国内でも報道されたコパ・アメリカ2019はブラジルの優勝で幕を閉じた。この大会で最も世間の注目を集めたのはおそらくリオネル・メッシの発言だろう。3位決定戦のチリ戦を不可解な形の退場によって終えたメッシは、準決勝でのVARの不使用に異議を唱え、ブラジルの優勝が審判の汚職によって生まれたとまで主張したのだ。

 メッシの発言の是非はさておき、接触プレーの多いサッカーで映像を用いて厳密な判定を下すVARは画期的なアイディアであり、審判団の判定を手助けするものとされている。

 さてこのVARは今シーズンからプレミアリーグにも満を持して導入される。プレミアリーグといえばフィジカルコンタクトが激しいプレーが多いものの、特に危険な場合を除いてプレーが止められないことが多く、事実上、独自の判定基準が設けられているとも言える状態だ。そんなイングランドの地において、このVARの導入はどういった影響をもたらすことになるのだろうか。

●VARの影響で変わることとは

 まずVAR導入による影響として間違いないのはPKの増加だろう。

 VARが初めて採用された昨年のロシアワールドカップではいずれも歴代最多となる29本のPKが与えられ、22ゴールが生まれた。またリーガ・エスパニョーラでも同様のケースが見られ、PKの数は113本から130本へ増加。結局リーグ全体の得点の10%強がPKによるものになった。

 PKの増加に関しては単純にファールが見逃されなくなったという側面もあるが、スローモーションで映像を見返すと、単純な接触が必要以上にぶつかっているように見えることもあるという。そういう意味ではPKの増加に関しては、良し悪しの意見が分かれるかもしれない。

 ただ確実に良いと言える現象も起こっている。それはリーガではゴール前でのダイブも減少した点だろう。より厳密な判定が可能となったことで、ダイブは無意味な行為と化したのだ。審判を欺く行為が減少したことに関しては手放しで褒めて良いはずだ。

●VARで価値が向上すると下落する選手たち

 そういう意味ではボックス近辺でどんどん、ドリブルで仕掛けられる選手はより重宝されるはずだ。もし相手に足を引っかけられたら確実にPKをもらえる。それを恐れて判断に迷うDFが出てくればアタッカーとしてはより突破しやすくなる。いずれにしてもドリブラーが有利な状況なのである。ラヒーム・スターリングや、モハメド・サラー、ウィルフレッド・ザハなど、突破力のある選手たちの移籍金は今後さらに高騰するかもしれない。

 同時にPKの絶対数が増えるのならば当然PKキッカーの重要性も今まで以上に増すはずだ。

 ちなみに昨シーズンのプレミアで最も多くのPKを決めたのは、クリスタルパレスのルカ・ミリヴォイエビッチで、10得点も決めている。回数が増えれば増えるほど研究はされていくにもかかわらず、11本中1本しかミスをしていないのだ。

 一方でマンチェスター・ユナイテッドのポール・ポグバは10本中3本失敗している。あるいはエバートンのギルフィ・シグルズソンは5本中2本もPKを失敗している。

 大舞台でのPKはプレッシャーのかかる大仕事であることは間違いないが、来季以降はキッカーの交代も視野に入れるべきかもしれない。あるいはこの夏のうちに研究されても問題ないよう、対策をとるべきかもしれない。

 評価が上がる選手がいれば、評価が下がる選手もいる。

 PKを与えてしまう立場となる守備者はどうすれば良いのか。英メディア『タイムズ』紙は、クリス・スモーリングとソクラティス・パパスタソプーロスの2選手をエリア内でのディフェンスの際に相手のユニフォームを掴んだり、腕を掴んだりした回数が多いと指摘している。

 ただでさえ昨シーズンは12枚ものイエローカードを受けているパパスタソプーロスは、今まで見逃されてきた部分の改善が求められることになる。

●各監督のVARへの反応とは

 ちなみに各チームの監督たちはどのように考えているのだろうか。まず王者マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督は早い段階から「審判を助けるもの」として導入に賛成。一方でトッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノ監督は「ファンをイライラさせるもの」として当初反対する姿勢を見せた。

 しかしそのシティとトッテナムが激突したチャンピオンズリーグ(CL)セミファイナルでは、ラストプレーでセルヒオ・アグエロのゴールがVARによって取り消されてトッテナムの決勝進出が決まった。皮肉なことにVARを擁護してきたペップは涙を飲む形となり、救われたポチェッティーノ監督は「VARについては信用する必要がある」とコメントした通り、反対意見を主張しにくい状況になった。

 ちなみに他の監督でいうと、アーセナルのウナイ・エメリはVAR導入を歓迎するコメントを残しており、リバプールのユルゲン・クロップは「議論の余地がある」と完全に支持はしないコメントを残している。

 いずれにしても開幕が近いにも関わらず、特に議論が進んでいない現状を鑑みると、完全に穴のない運用設計が終わってから導入するというより、導入後に問題が起こり次第、随時議論しながら微調整していくというスタイルをとるはずだ。

 そういう意味では来季は多少の問題は発生するかもしれないが、VAR導入という方向性は間違いないはず。都度議論しながら、プレミアリーグをより優れたコンペティションに導いていって欲しいものだ。

(文:プレミアパブ編集部)

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最終更新:7/16(火) 10:11
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