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ブリヂストンが縁石を開発? スムースな乗降を可能とするバス停の実現へ

7/16(火) 17:50配信

Auto Messe Web

高齢化社会に適応する“バリアレス縁石“

 公共交通機関のひとつとして、多くの人が利用しているバス。最近では出入り口の段差をなくして乗り降りをしやすくした「ノンステップタイプ」、そして車内の段差をなくした「フルフラットタイプ」など、ベビーカーや車いすを使用する人や、高齢者が利用しやすくなっている。

運用開始された新形状の縁石【画像】

 しかし、どんなにバスのバリアフリー化が進んでいても、バス停で乗り降りする際に、一度道路へ降りなくてはならないことが多いのも事実。バス停とバスがもっと近づいてくれれば、スムースに乗り降りできるのに……と思っている人も多いことだろう。

 そんなひと苦労を解消するべく、「ブリヂストン」は、横浜国立大学・交通と都市研究室、公益社団法人・日本交通計画教会、アドヴァンスと共同で『バス停バリアレス縁石』を開発。すでに岡山県で運用が開始されているという。

 今回、どのような経緯で開発が始まったのか。そしてどのような技術が盛り込まれているのか、報道陣向け技術説明会が開催された。まずはじめに、横浜国立大学の中村文彦教授が海外のバス停事情について解説。すでに海外ではバスがギリギリまでバス停に寄せられるような縁石の工夫が見られるという。そこで、欧州のバス停で採用されているカッセルカーブプラスという縁石を取り寄せ、横浜国立大学内に試験的に設置。バス会社とともに実験したところ、従来はバス停とバスの距離は平均約40cmだったが、輸入した縁石では平均10cm以下まで寄せることが可能になったという。

 しかし、このままではバスのドア形状によっては開閉時に縁石に接触してしまったり、タイヤが縁石に当たることによるリスクやダメージといった課題も見つかった。そのため、国産版の縁石開発が必要だという結論に至ったという。

 また、公益財団法人 日本交通計画協会の萩原 岳さんは「現在の状況では、場所によっては乗降の際に路面へ一度降りなければならないということもある。バリアフリーのためにということでノンステップバスの普及も進んでいるが、車両自体がノンステップになっていても乗り降りのバス停がバスと正着して段差がなくならなければ、本当のバリアフリーとは言えないのでは?」とコメント。

 参考として取り上げたフランスでは、公共交通機関のユニバーサルデザイン化が法制度で定められており、バス停に関しては“バスとバス停の水平方向ならびに垂直方向の離隔は50mm以内に収める“という目標がある。

 すでに実現されているバス停では、ベビーカーや車いすのスムースな乗降が可能になっているという。ヨーロッパではバリアレス縁石の採用、バスの正着は一般化しつつあるのだ。

 ところで、“ブリヂストンと縁石“という組み合わせはイメージが湧かないと思うが、これは同社のCSRの考え方“Our Way to Serve”を体現する、顧客価値・社会価値提供の一例とのこと。今回の縁石開発あたって、ブリヂストン ソリューション技術企画部 部長の田村大祐さんは、まず横浜国立大学に設置されているカッセルカーブプラス縁石を国産版にアレンジするために必要な課題を抽出することから始めたという。

「バスのドライバーには、縁石に当ててはいけないという習慣があります。ドライバーに対して、縁石へ寄せてくださいとお願いするのは、大きな負担となってしまいます。それは、経験豊富なベテランドライバーになるほど大きくなります。そして、もうひとつの課題はタイヤが縁石に当たるということ。そもそもタイヤのサイド面は衝撃に弱い。接触した際の衝撃を緩和させ、ダメージを小さくするという2点が、大きな課題となりました」。

 ブリヂストンは横浜国立大学の中村教授と共同で、これらふたつの課題をクリアするべく2017年6月に独自の正着縁石を開発。縁石に寄せるのが難しいようであれば、車両が自然とバス停へ寄っていけるよう、スロープ形状を設けたり、停車した際に縁石とバスが接触しないよう、段差を設けるなど接触回避形状を採用。

 そして、タイヤが接触した際のダメージを軽減させるため、ラウンド形状とした。これにより、緩やかにタイヤが接触するためダメージ軽減に効果を発揮。 ブリヂストンのテストコース内に試験設置し、外部からバスドライバーを招いて効果を確認したところ、非常に運転しやすいというコメントが寄せられたそうだ。衝撃も少なく、正着距離も非常に小さくすることが確認できたという。

 ブリヂストンと横浜国立大学の共同開発のほかに、前出の日本交通計画協会と土木建築用資材の開発を行なっているアドヴァンスも、バリアレス縁石を開発。これらを1チームでより良いものを開発し、素晴らしさを伝えていきたいという思いのもと、それぞれの良いところを融合させて進化させることになった。

「融合させるといっても、一番の課題はいかに正着させるかです。それぞれの形状をうまく取り入れ、現時点で最高といえる縁石が完成しました」と田村さん。6月10日、岡山県岡山市の「岡山市後楽園前」バス停に導入され、運用が始まっている。

 もちろん、これで完成というわけではなく、実際に運用した際に見えた課題をフィードバックさせ、進化していく可能性もある。肝心のタイヤも、サイドウォールが削れた際の対策として、摩耗しにくいゴムシートを張り替えることが可能になるタイヤも開発しているという。

 もちろん、車いすを利用していて乗り降りが大変だと感じている人、足腰が弱って乗り降りが億劫になってしまっている高齢者も、乗り降りが楽にになって行動範囲が広がるのではないだろうか。自動運転やEV化などバスの進化にも期待したいが、こういったバス停の進化も同時進行することで、公共交通機関はより魅力的になっていくと思うのである。

Auto Messe Web編集部

最終更新:7/16(火) 17:50
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