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クリーンなはずの「電気バス」は、なぜ世界を席巻しないのか? その理由を考える

7/16(火) 18:12配信

WIRED.jp

排ガスをまったく出さず、環境への負荷が低いとされる電気バス。世界的に注目されて中国を中心に導入が始まっているが、その利点のわりには普及が進んだとは言いがたい。なぜ世界中の都市を席巻せずに足踏みしているのだろうか? その理由について考える。

導入は電気バスだけでは済まないという課題

さまざまな点で、電気バスは時代に合った技術であるように思える。地球全体の二酸化炭素(CO2)の排出量の約4分の1は、交通機関の排ガスによる。そして交通機関が排出するCO2の量は、ほかの分野からの排出量よりも急速に増え続けている。バスは数のうえでは世界中のクルマのほんの一部だが、環境には極めて大きな影響を及ぼすのだ。

その原因のひとつには、バスが著しく環境を汚染する点が挙げられる。例えばコロンビアのボゴタのバスの数は、市内のすべてのクルマの数のわずか5パーセントにすぎない。しかし、市内でクルマから排出されるCO2の25パーセントと窒素酸化物の40パーセント、粒子状物質にいたっては50パーセント以上がバスから排出されている。さらにバスは人口密集地域を走ることから、わたしたちはバスの大気汚染への影響を痛感しているのだ。

そこで、いよいよ電気バスの出番だ。バスにつなぐ送電網がどこまで“クリーン”であるかにもよるが、いまや電気バスは環境にかなり配慮した乗り物になっている。

さらに電気バスには、従来のバスより間違いなくいい点がある。振動も騒音が少なく、排ガスがゼロなのだ。長期的に見ると操業コストも比較的少なくて済む。電気モーターによって効率化された構造によって、電気バスは整備しやすいからである(少なくともクルマのメンテナンスの経験があって内燃機関に習熟しているなら、電気バスの扱い方も覚えられるだろう)。

電気バスの99パーセントは中国で走っている

こうした背景があることから、世界中で電気バスの販売台数が増えているのも納得できる。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)のレポートによると、昨年は32パーセント増加したという。

電気バスメーカーのニュー・フライヤーで地球環境に配慮するサステナブル・トランスポーテーション部門を統括しているデイヴィッド・ウォレンは、次のように語る。「乗用車やトラックの電動化が注目されていますが、この技術革命をリードしているのはバスなのです」

いま地球上のバスの約17パーセント、すなわち42万5,000台のバスが電動化されている。このうち99パーセントは、実は中国で走っている。中国では国家の命令によって、あらゆる種類のクルマの電動化が推進されているからだ。

米国では、いくつかの都市がわずかな台数の電気バスを購入して試運転している程度で、運行している場合も試験段階にとどまっている。ようやくカリフォルニア州が、公共交通機関で購入するすべてのバスを2029年までに排ガスゼロの車種にすることを義務づけたくらいだ。

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最終更新:7/16(火) 18:12
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