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ブリヂストンはEV専用の新しいタイヤで、街をもっと「静か」にする

7/16(火) 19:11配信

WIRED.jp

夏だ近づいてきた。クルマに乗って熱い思いを胸に、1970年代後半から80年代にかけて一世を風靡したロックバンド、ボストンの曲を大音量で聞きたくなる季節だ。

ブリヂストン「絶対にパンクしない自転車用タイヤ」

それなのにボストンの名曲、例えば「アマンダ」のヴォリュームを目いっぱい上げると、走行中のタイヤからは耳障りなノイズが聞こえてくるではないか。

アスファルトの道路を転がるタイヤの音には、チューニングが狂わないギターで知られるボストンのトム・ショルツの演奏さえ狂わせてしまうほどのパワーがある。だが、タイヤによる騒音の問題はそれだけではない。

タイヤから発生するノイズは、騒音公害の最も大きな原因のひとつになっているのだ。高血圧やストレス、難聴のほか、認知症の早期発現などにも影響があるとされている。欧州では、うるさい音を出すタイヤへの課税が検討されているほどだ。

そこでこうした問題を解決すべく、ブリヂストンの米国法人であるブリヂストン・アメリカスは、このほど「Turanza QuietTrack」という名の新しいタイヤを米国で発売した。このタイヤは路面が奏でる“交響曲”の音を弱めるために開発された。

このタイヤはゴムと路面との接触を根本的に見直したことで、トレッド(接地面)を再設計した。ブリヂストン・アメリカスのエンジニアによると、特にEVにこのタイヤを装着すれば、乗車中の人々がリラックスしやすくなり、会話も弾むようになるだろうという。きっとボストンの「ピース・オブ・マインド」のような心の安らぎを得られるはずだ。

タイヤの共鳴音をいかに抑えるか

この新しいタイヤの特徴を紹介する前に、このタイヤがどんな課題を解決しようとしているのか、おさらいしておこう。クルマの騒音の原因は3つある。エンジン音、タイヤからのノイズ、そして風切り音だ。

米国運輸省の支援を受けて作成された『車道をより静かにするためのハンドブック』によると、時速約20マイル(約32km)までの低速の場合、騒音の大半はエンジン音(トランスミッションの音も含む)が原因だ。自動車レース「NASCAR」ほどの速度に達すると、騒音の主な原因は風切り音になる。この低速と高速との間の速度域では、タイヤからのノイズが問題になる。速度を出すほどノイズはうるさくなり、窓を閉めても気になってくる。。

運輸省のハンドブックによると、「タイヤノイズ」とは大まかに9種類の音を指す。最も小さい音は、タイヤのトレッドが道路の舗装に接する際のゴツゴツした音である。大きめの音は、タイヤの回転時にサイドウォールが発する金属的な振動音だ。

最もうるさくて重大な音は、キャヴィティノイズ(タイヤ空洞共鳴音、タイヤ気柱共鳴音)とパターンノイズである。キャヴィティノイズは、タイヤ内部での空気の振動による共鳴現象から生じる。タイヤの回転によって内部の空気がホイールを圧迫して、ブーンという低い音が鳴るのだ。ちょうど『スター・ウォーズ』のライトセーバーの音を低めにしたような感じである。

キャヴィティノイズは、タイヤが発するその他のノイズと比べれば低周波だ。そして波長が長いので、クルマの車体のような硬い物体をうまく通り抜けて車内に侵入してくる。

こうした低周波のノイズへの対策として、ノイズ低減機能がある一般的なタイヤには、内部の円周に沿って細長いフォームラバーが張りつけられている。このフォームラバーがキャヴィティノイズを打ち消す仕組みだ。しかし、この対策で打ち消せない高周波の音が、人間の健康と幸福に危険を及ぼすのである。

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最終更新:7/16(火) 19:11
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