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「流産して初めて“お母さん”と呼ばれた」持病で出産できない女性の痛みとは

7/16(火) 7:47配信

女子SPA!

“お母さん”になれなかった私

 美香さんはやむを得なく、地元の大きな病院の緊急外来へ。貧血でフラフラな体のまま、名前が呼ばれるのを待合室で待機すること3時間。

 ようやく名前が呼ばれ、自分の体に起きている事実を知らされた時のことは今でも彼女の胸に傷となって残っています。医師から、「稽留流産(けいりゅうりゅうざん※)ですね。残念ですがお母さん、お腹の子はすでに亡くなっています。」と告げられた時、美香さんはその場で泣き崩れました。

「人生で初めて『お母さん』と呼ばれた時、私の子どもはもうこの世にはいませんでした。妊娠に気づけなかった自分が憎かった。ちゃんと産んであげられないところに来させてしまってごめんねと、何度も天国の我が子に謝りました。」

 稽留流産の多くは妊娠12週未満の時期に起こるといわれており、子宮内容物がとどまっている場合は、除去手術が必要となる場合もあります。

 実際、美香さんもその後、その手術を行い、2週間の入院を経て退院。体は回復しましたが、心についた傷は消えるどころか、なにげない周囲からの言葉で逆に深くなっていきました。

※稽留流産「出血や腹痛などのいわゆる流産の徴候がないが、超音波検査で発育が停止(流産)していると診断されるもの(『公益社団法人 日本産婦人科医会』公式サイトより引用)」

「子どもは?」という質問の重み…

 退院後、美香さんはパートをしながら家計を支え始めましたが、周りの何気ない好奇心に何度も苦しめられることに…。

「結婚していると言うと、2言目には子どもは? と必ず聞かれました。事情を打ち明けると場が重くなるし、私も辛い。なので、当たり障りないように『授かりものなので…』と返していましたが『年齢もあるから早めに作った方がいいよ。子どもはかわいいからね』と言われ続けました。」

 パート先が変わる度に子どもに関するやりとりを繰り返さなければいけない。それは彼女が生きづらさを感じるのには十分な理由でした。

「次第に私は、『子どもは嫌いなんです。作るつもりもありません』と言うようになりました。でも、それでも引かない人もいます。子どものかわいさを延々と語ってくるんです。そんな世界に疲れてしまいました。」

 そういったやり取りに耐え切れなくなった美香さんはその後パートを辞め、自宅で仕事をするようになり、ようやく不要なお節介から逃れられました。

 結婚をし、子どもを授かる。

――それは今の日本ではまだまだ“当たり前な流れ”のように考えられています。そのため、子どもがいない女性たちは“子ども”というワードに敏感に反応してしまうことも少なくありません。

 子どもがいなくても、周囲は「何も聞かない」という配慮をしていく。これこそが、すべての女性にできる思いやりの形なのではないでしょうか。

―シリーズ 子どもがいない女性たちのリアル―

<文/古川諭香>

【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291

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最終更新:7/16(火) 7:47
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