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「価値」と「リスク」で有力政治家を分類。ニュースからはわからない自民党の「今」が見えた

7/16(火) 6:00配信

週プレNEWS

あの政治家はどういう考え方で、どんなビジョンを持っているのか。日常のニュースを見ていても、いまいちわからない。

【図】自民党の有力政治家9人をマッピングした図

そんなモヤモヤに答えてくれるのが、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の中島岳志教授の新著『自民党 価値とリスクのマトリクス』だ。

自民党の有力政治家9人の著作やインタビューなどを徹底的に読み込み、各政治家の思想的特徴を「価値」と「リスク」に分類して分析。ニュースからはわからない自民党の「今」を浮き彫りにする。中島氏に聞いた。

* * *

──政治家の特徴を「価値」(x軸)と「リスク」(y軸)というふたつの基準で読み解くアイデアはどこから?

中島 政治の仕事は、主に「お金」と「価値」のふたつの問題に大きく分類できると考えています。

お金の問題とは、端的に言えば国民から税金として集めたお金を公共工事に使ったり、あるいは社会保障として弱者の救済に充てたりといったお金の出し入れのことです。いわゆる富の再配分で、これが政治の重要な仕事のひとつです。 

ただ、その規模については、政治家によって考え方が違います。それを「リスクの個人化」と「リスクの社会化」に分けることができます。

──個人化と社会化ですか?

中島 例えば、人間誰でも思いも寄らない病気になるリスクがあります。あるいは、ある日突然、仕事や生活の基盤を失うことだってあるかもしれない。

そうしたリスクに対して、「個人化」というのは「基本的には自分でやってくださいね」という自己責任型の考え方です。その場合、税金はそんなに取らないけれど、サービスはあまりしませんよという「小さな政府型」になっていきます。

逆に「社会化」というのは、個人のリスクを社会全体で分散してカバーしましょうという考え方です。税金はある程度必要になるけど、その代わり社会保障などのセーフティネットを強化しましょうということで「大きな政府型」といえます。

政治家の基本的なスタンスを理解する上で、その人がリスクの個人化を志向するのか、あるいはリスクの社会化を志向するのかは、ひとつの重要な指標になると思います。

──もうひとつの「価値」に関する基準とは?

中島 政治は「価値観」に関わる仕事でもあります。例えば、「選択的夫婦別姓は是か非か」とか「LGBT」の権利をどうするのか、ほかに先の戦争の責任問題や憲法問題の一部も、これらは皆お金じゃなくて価値観の問題ですよね。

こうした問題を、僕は「リベラル」対「パターナル」という対立軸で考えます。ここで言うリベラルというのは、「相手が自分と異なる思想や政治的、宗教的な信条を持っていても、お互いそれを認め合いましょう」という、多様性を認める寛容な価値観だと考えてください。

そして、このリベラルと反対の価値観を、保守ではなく「パターナル」としているのが、この本の重要なポイントです。

パターナルは「父権的」とも訳されます。家庭内で強い力を持ってる父親が、特定の価値観を家族に強いる......といったリベラルの寛容さと対立する権力のあり方なんですね。

政治家が価値の問題を扱う以上、その人の価値観がリベラルなのか、それともパターナルなのかという違いは、大きな意味を持ちます。

「右か左か」とか、「タカ派かハト派か」とか、そういうこれまでの分類が意味をなさなくなってきた今、このふたつの基準を軸にして政治家や政党を見てみませんかというのが、この本で示したかったことです。

──今回、ふたつの基準を用いて自民党の有力政治家9人をマッピングすることで、何が見えてきましたか?

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最終更新:7/16(火) 6:00
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