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「老後2000万円」 備えに動く現役世代(渋沢健)

7/17(水) 7:47配信

NIKKEI STYLE

7月初めに都内で開かれた20~30代向けのセミナーに講師として参加しました。「社会変化と未来の自分」というテーマで資産形成も含めて話をしたところ、参加者の関心が高かったのは「2000万円問題」でした。金融庁の市場ワーキンググループがまとめた報告書が「老後資金は30年で約2000万円不足する」との試算を示したことが大きく取り上げられ、騒動となっているからでしょう。

■「人生100年」に備える若い世代

セミナーでは将来への不安を口にする参加者はいたものの、「もし年金が不足するならどう備えればいいか」という意識を持つ人が目立ちました。積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)が2018年に導入されてから、筆者は個人投資家向けセミナーで男女を問わず若い現役世代の参加が増えていることを実感していましたが、「2000万円問題」をきっかけにそうした動きがさらに広がりつつあるようです。人生100年を見据えて、動き始めている人たちが日本社会において確実に増えているのです。
金融庁の報告書を巡る騒動では「2000万円もの資産をつくるなんてできない」といった声も聞かれましたが、必ずしも非現実的な数字ではないと思います。セミナーなどで筆者が提案しているのは積み立て投資です。定期的に一定額の積み立て投資を実践し、30年間で運用成果が年率3.3%だったと仮定しましょう。毎月3万3000円で30年後には約2000万円の資産が形成されている計算になります。月3万3000円というと年間ではおよそ40万円、つみたてNISAの適用上限です。
同じく30年間の積み立ての運用成果が年率7.5%だと仮定すれば約2000万円になるため、必要な毎月の積立金額は1万5000円と半減します。日本を含む世界の株式市場の長期的リターンは、およそ年率7.5%です。
30年ぐらいの時間をコツコツとかければ、2000万円は遠い金額ではないのです。ちなみに人生100年を見据えて、その半分の40~50年の時間をかければ、2000万円に必要な毎月の積立金額は同様の計算ではもっと少なくなります。

つみたてNISAは20年間の時限制度として施行されました。18年に投資を始めていれば積立期間は20年間、19年開始なら19年間、20年から実施すれば18年間です。積み立て投資は長く続けるほど一定の成果が経験則上、期待できるとされています。つみたてNISAの制度を恒久化するとともに未成年を対象にした「ジュニア制度」を設けることが政策の優先課題ではないでしょうか。
日本は新しい時代の節目に差し掛かっています。日本の人口ピラミッドの変化および現役世代の保険料を財源とする公的年金の制度設計からはっきりとみえるのは、40代以下から資産形成を始めることの必要性です。一人ひとりが資産形成への意識を高める一方で、日本社会全体の構造的なサステナビリティー(持続可能性)のために政府が現役世代の資産形成を後押しすることが重要だと考えます。

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最終更新:7/17(水) 12:15
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