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世界中の情報がマリノスに!シティ流強化メソッドがもたらしたもの

7/17(水) 12:07配信

footballista

CFGを通じて世界の常識、情報に触れる

横浜F・マリノス好調要因の1つに補強の成功がある。Jリーグでプレー経験のなかったエジガル・ジュニオや、マルコス・ジュニオールなど獲得する選手が軒並み活躍。日本人選手においても昨シーズン途中に獲得した畠中槙之輔は日本代表に選出されるまでに成長するなど目覚ましい活躍を見せている。そうした背景にはシティ・フットボール・グループ(以下、CFG)の確かなバックアップが存在した。

この度、チーム強化を統括するスポーティングディレクター(SD)の小倉勉氏と、今シーズンより小倉氏のサポート役として就任した原正宏氏に話を伺った。CFGと提携することによって得られる情報、ノウハウ。そして、目指す未来とは……。

インタビュー・文 MCタツ
写真 窪田亮

――CFGが入ってわかりやすい結果が出るまで5年という歳月が必要だったのかなと外から見ていて感じています。実際にクラブの方たちはCFGが入ってどう適応していったのかを伺いたいのですが、最初は苦労されましたか?

小倉「私は5年間を振り返るには難しい立場です。なぜなら私は3年前に(マリノスに)来たので。英語が堪能な原を呼んだのも今年。ただやはり言えるのは、結果を出すためには相応の時間を掛ける必要があったということ。そして、それはCFGに限ったことではなく、サッカーがクラブに定着していくということはそういうものなのかなと思っています。

 少し前から振り返ると、エリック・モンバエルツが監督を務めて、その次にアンジェ・ポステコグルーが監督に就任しました。アンジェは去年の経験があってこそ今年の(チーム力の)積み上げがあります。ただ、(アンジェ・ポステコグルー監督就任前の)過去3年間も重要だということ。その経験をふまえて彼にオファーをしている訳で、クラブとして積み上がっているものも確実にあります。1番大事なのは継続。人が入れ替わることは悪いことではないと思うのですが、入れ替わりながらもクラブとしてぶれずにひとつのものが続いていく。そういう(クラブの)幹と呼べるものがしっかりと存在しなければいけない。結果で評価され、人の流動性が高い世界だからこそ、マリノスを幹のあるクラブにしていきたいと思っています」

――日産時代から伝統のあるクラブで、そのようなベースがありつつも、CFGが入ってきて、その幹に変化があったと思います。特に攻撃的なサッカーをCFGが掲げているところで、幹の変化は具体的にどういうところにありましたか。

小倉「変化というより、新しいものにトライしていくという感じですね。人材の変化もあればサッカーの変化もあります。新しいものが来たら、それを受け入れるところもあるし、逆に受け入れられないところもある。サッカーの世界で僕がよく言うのですが『日本の常識は世界の非常識、世界の非常識は日本の常識』というのは多々あります。彼ら(CFG)は当たり前だと思っている世界の常識が日本では『日本のやり方があります』となってしまう。そういう中でお互いが歩み寄ったりせめぎ合ったりっていうのが、本当にうまく行われるようになってきたのがここ1、2年。擦り合わせが明確になりました」

――海外の文化をCFGが持ってきた。それに適応するのに双方時間がかかったっていうところですかね?

小倉「強化部の僕ら以外にもクラブにはたくさん人がいますので、苦労された方もいたと思います。『5年かけてこうなりました』と言うのは簡単ですが、色んな苦労があったのではないかと」

――3年前に小倉さんがマリノスにいらっしゃった際の動機を教えて頂けますか?

小倉「元々、僕が興味を持ったのはCFGとマリノスの関わり。なかなか日本にいて世界を体験するというのは難しいことですから、それを体験したいと。(シティ・フットボール・ジャパン代表の)利重さんに話を聞いてみると『CFGを通じて世界の常識、情報にリアルタイムで触れることができますよ』と。元々Jリーグでコーチや監督をやっていたのですが、ACLに出ないとアジアや世界を意識するのは難しい。でも、マリノスに来ればそういうものがあるのではないかと思いました」

――実際マリノスに入ってみてCFGのやり方に衝撃を受けたみたいなことはありますか。

小倉「それは私が話すより、まだ新鮮味が残っている原が話したほうがいいですね」

原「例えばマリノスに来る前までシティのイメージはヨーロッパでした。それなのになぜこんなにもブラジル人選手を獲っているのかシンプルに興味がありました。それはCFGが南米も含めた世界中の選手の情報を集めるためのスカウト網を持っているから。世界中に60人程度のスカウトが存在しています。そこから吸い上げた情報のデータベースが我々マリノスにもシェアされています」

――それは非常に大きなメリットですね。

原「例えば、とある能力の高い選手がいて、でもまだマンチェスター・シティのレベルには達していない。そういう選手の情報をシェアしてもらえます。どれくらいの金額感なのか、その選手が海外に出たがっているのかどうか、またはクラブが売りたがっているのかどうかなど、そういう情報も含めてもらえます。普通のJリーグのチームがブラジル人を取ろうとした場合、代理人を通してや、スカウトが直接交渉するという方法だと思うのですが、僕たちの場合はそれをCFGとできます。それも南米だけではなく、ウーゴ・ヴィエイラとダビド・バブンスキー、ドゥシャン・ツェティノヴィッチなど他の地域の選手の情報も入ってきました。世界中にサッカー選手がたくさんいる中でマリノスの場合、まずはCFGが膨大な選手情報集めをやってくれるのです。そのデータベースのアドバンテージはかなり大きいですよね。CFGはそれを日本でもやろうとしていますから」

――とういうのは、日本の選手のデータベースもCFGが作っているということですか。

原「基本的に映像ベースで日本のJ1、J2、J3の選手情報を持っています。また、日本の世代別代表の情報も持っています。ただ試合を生で見ているわけではないので、僕や小倉さんを通して日本の生の情報も集めています。CFGは映像だけでなく生の情報も大事にしていますね」

小倉「今やCFGだけではなく、多くのクラブが先日のトゥーロンやU20ワールドカップにもスカウトを派遣していました。日本の世代別代表の情報は多くの欧州のクラブが持っています。ただ、その情報をどのようにシェアしていくのか。そのシステムや仕組みの面ではCFGはグループとしてやっている強みがありますよね。情報の精度も高まります」

――膨大な選手情報から今のマリノスのスタイルに適合する選手を選べるというのは、代理人とのつながりだけでやっているクラブとは大きな差になりますね。

小倉「ただ勘違いしてほしくないのは我々が代理人を軽視しているわけではないということ。選手獲得の際には代理人と交渉する訳で代理人がいなければ成立しません」

――そのデータベースがあるからと言って良いのか、今シーズンはエジガル・ジュニオ、マルコス・ジュニオールなど外国籍選手の補強も大当たりですよね。

原「日本ではよく外国籍選手の補強に関して、『当たり、外れ』という表現が使われますが、我々はそういう言い方はしません。我々はギャンブルしているわけではなく、情報を集めて精査して、自分たちのスタイルにあう選手を選んでいるので。だから当たる、当たらないとは違いますね」

小倉「外国籍選手は日本の市場規模で考えれば決して安い買い物ではないですよね。だから当たり外れではなく精度を高めていきたい。日本の場合『日本のクラブで活躍した外国籍選手はハズレない』ということで日本の他クラブから外国籍選手を獲得するというのが多いですよね。当然それは精度が高くなります。でもそのぶん移籍の際にかかるコストが高くなります。マリノスが獲得している選手は、そういう選手と比べれば安い金額になりますね」

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最終更新:7/17(水) 12:57
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