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インドは脱貧困の優等生 10年で2億7000万人が極貧にさよなら

7/17(水) 18:19配信

ニューズウィーク日本版

<国連の報告書で、インド人の暮らしが底辺から大きく改善していることが明らかになった>

国連の新たな報告書により、インドでは「極度の貧困」から脱した国民が大幅に増えたことが明らかになった。「多次元貧困」状態にあるとされた人々がインドの人口全体に占める割合は、2006年から2016年の10年間に、55.1%から27.9%にまで急落したという。

多元的貧困とは、所得だけではなく、健康状態、教育、暴力の脅威など複数の項目で貧困の実態を把握する指標。全世界で見ると、子どもでは3人に1人、大人の6人に1人が、この多元的貧困状態にある。

国連開発計画(UNDP)とオックスフォード貧困・人間開発イニシアティブ(OPHI)がまとめた2019年グローバル多元的貧困指数(MPI)は世界101カ国を調査対象とし、2006年から2016年の10年間について、「極度の貧困」レベルの変化を追ったものだ。

この報告によると、2016年までの10年間に、インドでは約2億7100万人の国民が貧困から脱した。MPIの調査対象国々のなかで最多の数字だ。特に「資産、食用油、衛生、栄養」といった項目で著しい改善が認められた。

全世界で見ると、多元的貧困状態にある人は約13億人を数える。その大半は、バングラデシュ、カンボジア、コンゴ民主共和国、エチオピア、ハイチ、インド、ナイジェリア、パキスタン、ペルー、ベトナムの10カ国に住んでいる。

インドでは、電力がない人の割合も9.1%から8.6%まで低下した。住環境が劣悪な人の割合も、44.9%から23.6%へと大きく下落した。

<生まれで大きな差がつく人生>

インドで特に大きな改善がみられたのは、国内でも最も貧しい地域だ。たとえばジャールカンド州では、多元的貧困層が占める割合は2005~2006年度の74.9%から、2015~2016年度の46.5%まで下落した。

国連で2015年に採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」では、目標の1つに「世界中に住むあらゆる人の極度の貧困を根絶する」ことを掲げる。UNDPのペドロ・コンセイソン人間開発報告書室長は、より平等な世界を作るためにはさらなる取り組みが必要と語る。

コンセイソンは3月、「一部には改善が見られるものの、今日の世界にはいまだに根深い不平等がはびこっている」と指摘した。「貧しい国や貧しい家庭に生まれた新生児を待ち受ける人生は、豊かな環境に生まれ育つ子どもたちとは根本的に異なってしまう」

(翻訳:ガリレオ)

ジェイコブ・ウォレス

最終更新:7/17(水) 18:19
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