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日本の「ブラック校則」を海外から見て思うこと

7/17(水) 14:54配信

webマガジン mi-mollet

 最近、3歳娘のおしゃれ熱がとどまるところを知らず、毎朝これを着る、髪の毛をこれで結ぶ……とお騒ぎです。幸い、今娘が通っているシンガポールの幼稚園は非常にルールが緩く、制服はあるものの、私服を着て行ってもやんわり「明日はユニフォーム着てきてね」と言われる程度。休み明けでなかなか幼稚園に行きたがらない朝などは、この緩さが大変ありがたく、親もイライラせずに、着たいものを着せて本人の気分を盛り上げて送り出すことができます。

最近はネイルにも興味津々で、子ども用のすぐ取れるマニキュアを塗って幼稚園に行くことも……。さすがにこれはちょっとまずいかなと思い、帰宅後に「先生に、爪のこと何か言われなかった?」と聞くと「かわいいねって言われた‼」と満面の笑みの娘。

そこまで自由じゃなくても構わないのですが、対して、最近『ブラック校則 理不尽な苦しみの現実』(荻上チキ・内田良編著)という本を読みました。主に日本の中学・高校の事例を扱っているので、シンガポールの幼稚園と比べるのはナンセンスではありますが、副題の通り、理不尽で時に意味不明な学校のルールには暗澹たる気持ちがしました。

本著では、経済的な影響、ジェンダー、発達障害やLGBT生徒にとって、そして教師や保護者、法制度面や学問的見地……とさまざまな視点から包括的にブラック校則が論じられています。なぜ理不尽な校則が、かえって強まっているのかという背景は必ずしも明らかにはならないものの、現在日本の子どもたちが置かれている状況をつまびらかにし、問題提起をする重要な本だと思います。

海外にいる立場でこれを読んでまず感じたことは、人種の多様性が極端に少ない日本ならではだなということです。たとえば、地毛が茶髪の子どもにも執拗に黒髪を求める事例がいくつかでてきますが、多様な文化が存在する国ではそんな校則は考えにくいです。また熱帯地域では強い日差しを年中浴びているせいか、両親が日本人で生まれたときは黒髪でも、髪の毛が茶色っぽくなっている子どもたちもいます。

 シンガポールの幼稚園が身に着けるものにうるさくないのは、文化によっては幼少期からピアスなどのアクセサリーを常に身に着けているのが普通という人たちもいるからかもしれません。グローバル化し、日本の学校でも外国にルーツを持つ子どもや多様な背景の子どもが増えていくなかで、見た目の均質化を目指す校則は見直していく必要があるのではないかと思います。

日本で校則によって発生している費用負担の大きさにも驚きました。息子の通うインター校では先日年度が終わり、使わなくなった制服を4~5シンガポールドル(400円程度)で他の保護者と売り買いしたばかりです。一方、日本では「いじめの理由になるから」と、きょうだいのおさがりを使うことを禁止する学校、7万円もする指定自転車を利用しないといけない学校があるということです。

そして本書を通じて何度も言われることですが、校則は本来、生徒たち自身もその決定に参画でき、どうあるべきかを議論できるべきです。理不尽な環境に声を上げて変えていく格好の教材なのに、むしろ曖昧な根拠による強圧的な教師の態度でそうした機会が抑圧され、失敗体験につながっていることは非常に残念です。

日本の教師の労働時間はOECD諸国で群を抜いて高く、教師の負担を減らしていくことも重要な課題となっています。これらとともに、本著などの問題提起が日本の学校を変えていく契機につながることを切に願います。

中野 円佳

最終更新:7/17(水) 14:54
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