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人民元建債券の希望の光

7/17(水) 14:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

ポイント

なぜ中国の老齢人口の増加が、人民元建債券市場の国際化を進めるのでしょうか

中国の老齢人口(65歳以上)の増加は、世界第二位の経済大国の社会問題になりつつありますが、一方では時価総額が13兆米ドル相当の人民元建債券市場が国際化することを後押ししています。なぜそうなるのかを理解するために、人口動態、貯蓄および中国の対外収支の状況を把握することが重要です。

国際連合(UN)の見通しによると、中国の労働人口(15歳以上64歳以下)比率がピークを付けたのは、約10年前で64%であり、今後2030年に向けて52%まで低下する見通しです。人口の老齢化が進むと、主として医療費の増加や引退したことによって全体の出費が増えます。実際中国では、年間の年金支出の伸びと同様に増えてきました。

そして、年間の年金資金の不足額の中央値は現在の500億人民元から、2050年には1兆4,100億人民元まで増える見通しです注1。この不足分を埋めるために、中国は貯蓄を奨励する必要があります。ところが、国内総生産(GDP)に対する貯蓄率は、ピーク時の46%から、2030年には40%割れの水準になる見通しです。

注1:Wuhan University and Chinese Academy of Labour and Social Security, Sustainability 2019,11, 1418; doi:10.3390/su11051418

貯蓄率の低下と家計支出の増加が意味するところは、中国はいつ経常収支が赤字になるか、すなわち生産するよりも消費する方が多くなるかということです。これが、中国の債券市場の発展の重要な背景となっています。

中国は、いずれ経常収支の赤字を海外からの借入でまかなう必要があります。換言すると、これまでの資本の輸出国から輸入国に転じることを意味します。この差し迫った転換を意識して、中国政府は資本市場の自由化と海外資本の誘致について、いろいろな政策を実行しています。この構造改革の重要なポイントが、中国の国内債券市場の開放です。

“グローバルな債券指数の提供会社が、主要指数に中国の債券を採用することは、投資家に対して中国の債券に投資する必要性を喚起します ”

2017年にスタートした「ボンドコネクト(債券通)」によって、海外の投資家は中国本土に口座を持つことなく、香港で中国債券への投資が可能となりました。中国当局は、DVP(債券の引渡しと代金の支払いを同時に行う決済)も導入して、決済リスクを大きく減らしています。


中国政府は、海外の投資家に対して2021年11月までの3年間、中国の債券の利金収入を非課税としています。更に中国人民銀行は、海外の投資家のレポ取引や他の派生商品の規制緩和を計画しています。

このような施策や、市場を開放するための追加の規制緩和によって、人民元建債券はグローバルなポートフォリオにおいて大きな地位を占めるようになっています。


海外の投資家の人民元建債券の保有残高は、2018年末の1,600億米ドル相当から2019年第1四半期末の2,710億ドル相当まで増えています。この動きは、グローバルな債券指数の提供会社が、人民元建中国債券を主要指数に採用することを期待した動きも一部にあると見られます。

ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル総合債券指数は、2019年4月に中国の人民元建債券を指数に採用しました。この動きは、他の債券指数への中国債券の採用を促すものと見ています。全体として、中国の債券指数採用は、翌年には3,000億ドル相当近くの資金流入につながるものと考えます。


現在、グローバルな投資家の人民元建中国債券の保有比率は3%以下に留まっていますが、中国人民銀行は今後10年間で、この比率が現在の3倍以上の10%から15%になることを期待しています。

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最終更新:7/18(木) 19:51
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