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驚きのアイデアでジェンダーの固定観念をくつがえす、世界が認めた3つの作品

7/17(水) 17:00配信

Forbes JAPAN

毎年フランスのカンヌで開催される「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル(Cannes Lions International Festival of Creativity)」は、広告やPR分野のクリエイティブな作品が世界中から集まり、コンペティションが行われる。広告業界のオリンピックと表現しても良いかも知れない。

広告業界とは縁のない私とカンヌライオンズとの付き合いは浅いが、自分が立ち上げた事業で2017年のカンヌライオンズに応募し、幸運にもモバイル部門のグランプリを受賞することができた。

その時は残念なことに会場へは足を運ぶことができなかったが、今年はようやく現地を訪れることができたので、事業開発者、そして過去のグランプリ受賞者としての視点で気になった受賞作品を紹介したい。

ジェンダーをテーマにした作品を選んだ理由

私は株式会社リクルートライフスタイルで『Seem(シーム)』という事業の責任者を務めている。『Seem』はスマートフォンと専用キットで精子の状態を測定・数値化できるサービスで、男性のための妊活エントリーツールだ。

私がリクルートで精子チェックサービスを立ち上げたのは前職での経験が大きく影響している。新卒で入社したその会社では『ルナルナ』という生理日管理サービスの部署に配属された。当時、部署のメンバーは10人ほどだったが男性は私1人。女性たちに囲まれながら女性の身体のことや健康について考え続けていた。

現在は男性向けのサービスを運営しているが、もちろん妊活は女性に関わる部分が大きい。そのため今も引き続き女性のウェルビーイングについても考える機会は多い。

前置きが長くなってしまったが、そのようなバックグラウンドを持つ私が、注目した作品をいくつか紹介したいと思う。

国際女性デーに売ったポルノ雑誌のアイデア

1. The Last Ever Issue

1つ目はポーランドのポルノ雑誌をニュースサイトの「GAZETA.PL」とメガバンクの「BNP PARIBAS」、そして「MASTER CARD」によるチームが買収した案件だ。

買収された雑誌は「Twój Weekend(あなたの週末)」。ポーランドで最も歴史のあるポルノ雑誌で、誌面は女性のヌードグラビアで溢れている。ただ、この雑誌を通じて男性がイメージする女性像はファンタジーにすぎない。しかし、ポーランドでは公的な性教育が満足になされておらず、多くの男性が長年このポルノ雑誌から女性のことを学んできた。

結果としてポーランドでは女性は弱く、気に留める必要がなく、聡明ではない存在として扱われてしまっていた。この悪習に終止符を打つために、前出のチームがとった手段がTwój Weekendの買収だった。

2019年の国際女性デーに「The Last Ever Issue」と銘打った最終号を発売。雑誌の構成をそのまま残しつつ、内容を完璧に作り変えることで、これまでの女性差別と女性蔑視に対して戦いを挑んだのだ。

すべてのグラビアは女性写真家による女性の多様性を表現する美しい写真で埋め尽くされ、コラムやインタビュー記事ではジェンダー・イコーリティーに関する正しい知識を提供した。

The Last Ever Issueはポーランドの国中で話題になり、過去10年間で最も売れた号となり、カンヌライオンズではグラス部門(ジェンダーの課題をクリエイティブに解決しようとした作品部門)のグランプリを勝ち取った。

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最終更新:7/17(水) 17:00
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