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「中規模書店」で相次ぐ経営危機――大都市近郊でも増える「書店ゼロエリア」

7/17(水) 8:31配信

HARBOR BUSINESS Online

相次ぐ老舗大手書店の経営危機

 地方のみならず都心地域でも「書店の閉店」が目立つようになってきた昨今であるが、そうしたなか東西の大都市を拠点とする「老舗大手書店」の経営問題が相次ぎ報じられた。

⇒【画像】店舗に掲出された「破産」の告示

 その1つが1月に経営破綻して廃業した関西の老舗「天牛堺書店」(大阪府堺市南区)、そしてもう1つが7月から私的整理に入った、首都圏の老舗「文教堂」(神奈川県川崎市高津区)だ。

消えた大阪の地場大手「天牛堺書店」

 2019年1月に破産した「天牛堺書店」は1963年に大阪府堺市津久野駅前で創業。新書に加えて文具、CD、DVD、古書の販売も行っていたことが特徴であった。

 店舗網は関西地方だけであったものの、最盛期には地場大手として30店舗近くを展開。南海電鉄の沿線にある駅ビル・駅チカへの出店を主体とし、かつては関西国際空港にも出店していたほか、経営破綻時にも「高島屋」や「イオンモール」内に店舗があった。

 しかし、近年は売り上げの低下に歯止めがかからず閉店も目立っていた。2018年には創業の地・津久野から撤退。今年1月28日に大阪地方裁判所堺支部から破産手続開始の決定を受けるに至った。

 東京商工リサーチによると、負債総額は約18億円。ピーク時の1999年5月期には売上高約29億900万円を計上していたが、2018年5月期の売上高は約16億8000万円になっていたという。

 同社の店舗のうち、高島屋堺店内の店舗跡には丸善書店が、イオンモール堺鉄砲町店内の店舗には大垣書店が出店するなど、集客力のある立地にはすぐに後継として大手書店の出店が決まったものの、中小規模の店舗の多くは引き継ぎ先が決まらず、大都市近郊でありながら未だに空き店舗のままとなっているところも少なくない。

複合書店の先駆け的存在――全国大手の「文教堂」も経営再建に

 一方、6月より私的整理を開始した「文教堂グループHD」の中核企業「文教堂」は1949年12月に神奈川県川崎市の溝の口駅前で「島崎文教堂」として創業。1993年11月に現在の社名に変更、1994年7月に株式上場した。

 同社は1990年代まで首都圏地盤の書店チェーンであったが、1999年8月に国内最大級(当時)となるインターネット書店「J-BOOK」を開設、2000年10月に北海道地場大手書店「本の店 岩本」、2002年9月には化粧品大手「ポーラ」傘下の書店「ブックストア談」を買収するなど、全国展開を本格化。2003年からは新業態「文教堂ホビー」(B’s Hobby)1号店を出店しプラモデル・模型専門店に参入、2005年4月には複合書店大手「ゲオ」との包括的業務提携を締結、また当時中堅コンビニであった「スリーエフ」と共同で24時間営業書店「文教堂スリーエフ」を出店(2019年現在は一部店が「文教堂ローソンスリーエフ」として現存)するなど、出版業界の市場縮小に対応した事業多角化を進めていた。

 業界に先駆けて事業多角化を進めた文教堂であるが、同時期より競合書店チェーンとの競争激化もあり、経営不振の常態化が顕著にみられるようになった。

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最終更新:7/17(水) 8:31
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