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思想は革新、歩みは着実。奈良クラブ、JFLでの現在地

7/18(木) 11:05配信

footballista

ピッチ上で困難に直面する奈良クラブ

 完敗--力の差を見せつけられた結果だった。

 内村圭宏、橋本英郎、園田拓也、駒野友一、修行智仁といった元Jリーガーの実績者に加えて、JFLで2年連続2桁得点の桑島良汰、4年連続2桁得点・4年連続ベストイレブンの有間潤らを擁する巨大戦力。雨の降りしきる「夢スタ」にて、FC今治に対してシュート数3対20、スコア0-2という結果を突き付けられた。

 試合後に杉山弘一監督が「コントロール、パスが上手く、球際も簡単にやらせてくれない強さがあった。Jリーグを本気で狙っている強いチームだと感じた」と語ったように、戦術やチーム力以前に、そもそもの戦力値について大きな開きがあったと言わざるを得ない。

 昨年11月より新体制に移行し、注目を浴びた奈良クラブ。『サッカーを変える、人を変える、奈良を変える』というビジョンを掲げ、『学び』をキーワードに様々な革新的な取り組みを開始しているが、ピッチ上では困難な状況が続いている。

 シーズン折り返しの15節を終えた時点で16チーム中14位、4勝3分8敗という数字は褒められたものではない。JFL昇格以降の最高順位は7位、昨季も8位に終わるなど決して抜きんでた強豪ではなかったが、林舞輝GMの抜擢、J3優勝経験もある杉山監督の招聘など期待値も高かっただけに、そろそろ風当たりも強くなってくるかもしれない。

着実に戦術的進歩を見せる奈良クラブ

 ただ、この試合について結果は完敗だが、何もできなかったとも言い切れない。

 毎試合応援しているサポーターからはじれったくも感じられるだろうが、開幕戦(対ヴィアテン三重)、第7節(対FC大阪)、そしてこのFC今治戦と、ちょうど2カ月毎に試合を観戦した筆者からすると、大きな進歩をしているように感じられた。

 開幕戦の奈良クラブはまだまだチーム構築の初期段階といった様相で、三重戦の戦術については乱暴にまとめると「[5-4-1]システムで後ろの守りをしっかりと固め、手数を掛けずに体格優位なFW陣に早めに当ててゴリ押す」というものだった。相手の見事なフリーキックにより0-1の敗戦とはなったが、プラン通りにショートカウンターを許さず、無得点に終わったもののリスクをかけずに突き崩せそうな雰囲気もあった。ただパスのつなぎはおぼつかず、人数をかけながらどこか危うさのある守備対応など、チームとして産まれたての小鹿状態にも見えた。

 続く2カ月後のFC大阪戦。なんということでしょう、守備は人海戦術ではなく4バック、攻撃も放り込むのではなくて、しっかりと自分たちでボールを保持して前進する奈良クラブの姿が。アンカーがDFラインに落ちるサリーダ以下略を織り交ぜつつ、FC大阪の[4-4-2]プレッシングをいなす。相手に有効なカウンターをほとんど許さずに、主導権を握り続けて1-0で勝利を飾った。

 そして今回の今治戦。「ビルドアップから中盤にかけて、この雨の濡れたピッチの中で選手たちは勇気をもって前へ進んでくれた」と杉山監督も語ったように、今治の強烈なプレスにも慌てずに(多少のミスはあったが)、ボールを回して前進を試みた。しかしながらその次、ピッチ残り3分の1でのプレーにはまだまだ課題があると言える。これはFC大阪戦でもそうだったのだが、狙いは見て取れつつも最後の局面で精度やスピードが上がらずに、なかなか効果的な攻撃が繰り出せていない。

 ここはまさに「いま仕込んでいるところで、このメンバーで点を取るためにバリエーションや精度を上げていっている最中。セットプレーやクロス、コンビネーション、ミドルシュートを狙う、シュートと見せかけての連係など、精度を上げてバリエーションを増やしていくことで得点は取れるようになると信じている」(杉山監督)とのことで、ファンも我慢が必要な部分だろう。

 逆に、失点数リーグ最少3位タイの数字が示すように守備は安定している。この試合についても20本のシュートを浴びながら、奈良視点で見ると“完全に崩された”場面はそこまでなかったのではないか。体を張る部分やカバーリングなど、チームとしての連動や選手個々の反応も開幕戦と比べて鋭くなっているように感じた。

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最終更新:7/18(木) 11:05
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