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トランプにとって一番の敵はどの国か?

7/18(木) 12:11配信

Wedge

政治的利用価値の高いベネズエラ

 トランプ大統領が6月18日に南部フロリダ州オーランドで再選出馬表明をしたことにより、選挙戦が本格化してきました。20人以上が乱立する米民主党候補には、バーニー・サンダース上院議員(無所属・東部バーモント州)、エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党・東部マサチューセッツ州)及びカマラ・ハリス上院議員(民主党・西部カリフォルニア州)など左派系候補が含まれています。

 各世論調査をみますと、支持率におけるトップ4には首位を維持している中道穏健派のジョー・バイデン前副大統領を除き、うえの3人の左派系候補が食い込んでいます。

 トランプ集会で、トランプ大統領が民主党をベネズエラに喩えて「社会主義」と呼び、「米国はベネズエラのようには決してならない」と語気を強めて語ると、支持者は大歓声を上げます。

 ホワイトハウスで7月11日に開催した「ソーシャル・メディア・サミット」においても、トランプ大統領はハイパーインフレーションと政情不安が続く社会主義国ベネズエラに触れました。そこで同大統領は、来年の大統領選挙で民主党が勝利を収め、米国が社会主義に向かわないように、有権者に対して警告を発しています。ベネズエラは政治的利用価値が高い国であることは間違いありません。

5カ国のランキング

 うえの5カ国の中でトランプ大統領にとって最も票になる国は、おそらくメキシコか中国になるでしょう。逆に票と直結しない国は北朝鮮になります。

 従って5カ国のランキングをつけると、1位メキシコ、2位中国、3位イラン、4位ベネズエラ、5位北朝鮮ないし1位中国、2位メキシコ、3位イラン、4位ベネズエラ、5位北朝鮮の順になります。つまり、支持者の票を固めるうえで優先順位の高いメキシコからの不法移民流入及び中国との貿易摩擦の順で、トランプ大統領は時間とエネルギーを割くことになります。

トランプ再選戦略における日本の位置づけ

 ではトランプ大統領は、再選戦略において貿易摩擦を抱えている日本をどのように位置づけているのでしょうか。 

 トランプ大統領にとって習主席よりも、安倍晋三総理の方が組しやすい相手であるということは明らかです。仮に中国が貿易問題で米国の要求に抵抗を続けたために十分な成果を得られなかった場合、同大統領はその埋め合わせをしようと、日本に矛先を向けて早く結果を出そうとする可能性は否定できません。 

 たとえば、中国が次の大統領選挙で鍵を握る重点州の1つである中西部ウイスコンシン州の豚肉に対して報復関税をかけ続け、膠着状態になれば、トランプ大統領は日本市場へ輸出しようと関税引き下げを一層強く求めるでしょう。

 余談ですが、現在日本が直面している半導体素材の輸出規制を巡る韓国との貿易問題に関して、トランプ大統領が介入する可能性は低いでしょう。というのは日韓貿易問題は票に直結しないからです。逆に、安倍総理は参院選を前に「韓国叩き」をして支持基盤を固めることができます。

 もし日韓貿易問題が米国の株価に影響を及ぼしたり、ライバルのバイデン前副大統領に有利に働くならば、トランプ大統領は即座に行動を起こします。結局、トランプ外交は今後、支持者の票固めの色がさらに濃くなると言っても過言ではないでしょう。

海野素央 (明治大学教授、心理学博士)

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最終更新:7/18(木) 12:11
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