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三好康児、世界を驚愕させた男もマリノスでは…。苦境を乗り越えるために、求められることは?【コパ・アメリカに挑んだ若き日本代表の今(1)】

7/18(木) 10:31配信

フットボールチャンネル

 ブラジル代表の優勝で幕を閉じたコパ・アメリカ2019(南米選手権)。東京五輪世代の選手中心に挑んだ日本代表は、グループリーグを2分1敗で終え、ベスト8入りを逃している。それでも、若い選手たちにとっては収穫の多い大会となったに違いない。そんな彼らはコパ・アメリカというビッグトーナメントを経て、現在は所属クラブでどのような時を過ごしているのか。第1回は横浜F・マリノスのMF三好康児。(取材・文:元川悦子)

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●「コパに行く前から同じ扱いだった」(三好康児)

 仲川輝人のゴールがオフサイドか否かで物議を醸し、9分間あまりの中断の後、得点が認定された13日の横浜F・マリノス対浦和レッズ戦。直後にオウンゴールを食らって2-1と追い上げられた後、アンジェ・ポステコグルー監督が満を持して投入したのが、背番号41をつける三好康児だった。

「オープンな展開だったので、チャンスはあると思っていました。自分が入れば得点を取りに行くことをつねに考えてますし、自分が入る理由っていうのは攻撃の部分。入る時間に関係なく、つねにゴールは狙っています」

 マルコス・ジュニオールに代わってトップ下に入った22歳のアタッカーは貪欲に前へ前へと突き進んだ。

 それが結実したのが、後半39分に自らのドリブルシュートからPKを得た場面。ブロックした槙野智章はハンドだったとは認めていないものの、微妙な判定でも三好のシュートが迫力十分だったのは確か。これがエジガル・ジュニオのダメ押し点となり、横浜は3-1で勝利。首位・FC東京に肉薄する格好となった。

 このシーンに象徴される通り、最近の三好はスーパーサブとして起用されることが多い。直近のJ1スタメン出場は5月11日のセレッソ大阪戦。それ以降、2ヶ月間はずっとベンチスタートが続いている。

 6月のコパ・アメリカ2019(南米選手権)参戦後、コンディション面などの理由で先発を外れたり、ベンチ外になる選手も少なくない中、彼の場合は「コパに行く前から同じ扱いだった」と淡々と言う。

●強力な3枚看板。序列を変えるには?

 今季の横浜FMが好調を持続していて、同じ陣容で戦った方がより安定感のある戦いができるという指揮官の判断が大きいのだろう。ただ、コパのウルグアイ戦で2ゴールを挙げ、世界を驚愕させた才能ある点取り屋が控えに甘んじているのは、どうしても物足りなさが拭えない。同じコパ組の久保建英がレアル・マドリー、安部裕葵がバルセロナへ移籍するという華々しいニュースが流れている今だからこそ、よりその印象が強まるのだ。

「(スタメンで出られないのは)チームのやり方だったり、いろんな要因があると思います。自分自身がもっともっとアピールしないといけないという部分ももちろんある。やっぱり一番大事なのは結果を残し続けること。チームが好調な中、スタートであろうが、後から出ようがつねに準備するってところだけは大事かなと思います」

 三好本人もこう強調するように、アシストやゴールという目に見える結果を増やすことしか序列を変える術はない。浦和戦で三好と交代したトップ下のマルコス・ジュニオールは今季8ゴール。まだ3点しか取っていない彼自身よりも数字を残している。

 右ワイドに陣取る仲川にしても8点とチームに不可欠な得点源になっている。エジガル・ジュニオを含めた3枚看板の一角を崩すくらいのゴールラッシュを見せなければ、早期の定位置確保は叶いそうもない。そこを背番号41も十分に理解しているから「結果を残し続けること」の重要性を口にしたのだ。

 アタッカーが厳しいポジション争いを強いられるのは日常茶飯事だ。もともと彼はジュニア時代から過ごした川崎フロンターレで思うように出場機会を得られず、昨年は北海道コンサドーレ札幌、今季は横浜FMへレンタル移籍している選手だ。

 川崎F時代は家長昭博や阿部浩之らがひしめく強力アタッカー陣の壁を乗り越えられずに苦悩の日々を強いられた。「川崎の方がもっとレベルが高かったし、今よりもずっと苦しさを感じていた」と本人も述懐する。その経験があるから、今、何をすべきかをしっかりと考えられるに違いない。少しの挫折で打ちひしがれるほど、三好康児という選手はやわではないはずだ。

●コパに挑んだ経験をどう生かすか

 現在の横浜FMでは順風満帆な状況とは言い切れないが、同じ世代の久保や阿部、板倉滉や堂安律らのように海外移籍に踏み切るべきかというのもまた難しい。

 今のところ、具体的な話は表面化していないが、「チャレンジするのか、Jで実績を積む方がいいかというのはみんな悩んでると思う。答えは出ないと思います。周りが行くから行くとかじゃないと思うし、タイミングだったりいろんな要素があると思うので」と本人も言葉を濁していた。

 もともと海外志向のある選手だけに、近い将来の移籍はありえるだろう。思い切った挑戦に踏み切るにしても、横浜FMで戦い続ける道を選ぶにしても、コパというビッグトーナメントで堂々と自分の強みを発揮し、2ゴールというインパクトを残したことは大きな自信にしていい。

「あの大会にA代表として出場して気付いたのは、自信を持って試合に挑むことの大切さ。ただ、Jリーグはコパの戦いとは違った難しさがあるので、そこは頭を切り替えてやらないといけないと思います。自分がどうすればよりいいパフォーマンスを出せるか。それを考えながらやっていきたいです」

 地道なアプローチを続け、少しずつ進化し、ゴールに直結する結果を残してこそ、1年後の東京五輪、そしてA代表定着が見えてくる。コパに参戦した経験をどう生かすのか。自分自身をどう変えていくのか。三好康児にはまずそこに集中し、停滞感を打破してほしいものだ。

(取材・文:元川悦子)

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最終更新:7/18(木) 10:31
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