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懐かしく怪しき香り漂うディープな街 「油麻地」裏通りを行く(香港)

7/18(木) 15:02配信

サライ.jp

文・写真/菅原 悠(海外書き人クラブ/香港在住ライター)

今でこそ、金融の中心地、きらびやかなネオン輝く観光都市というイメージが強い香港。だが一昔前までは「日本で人さらいに遭った子が香港に売られていた」とか「香港で試着室に入ると突然壁が開いて連れ去られる」などといった「都市伝説」が、まことしやかに囁かれるような如何わしい街だった。
そんな古き怪しき香港が、今も残る場所がある。

九龍半島の中心地である尖沙咀(チムサーチョイ)から2駅、歩いても20分ほどの場所に位置する繁華街「油麻地(ヤウマテイ)」

その昔、大規模な埋め立てがなされるまで、この地はのどかな漁村だった。いつしかマフィアと強い繋がりを持つようになり抗争や事件が多発する香港屈指の危地となったが、最近では大きな事件はめっきり減り、夜でも観光客の絶えない人気のエリアに様変わりした。しかし現在も裏通りには、ここは危険だと細胞が信号を発してくるような得体の知れない怪しさ漂う場所がある。
このディープな街「油麻地」の裏通りを覗いてみよう。

* *

まずは地下鉄・油麻地駅よりほど近い場所にある1913年から続く果物市場「油麻地果欄(ヤウマテイ・クォラーン)」へ。


小売店が並ぶエリア。100年以上前に建てられた2階建ての店舗兼倉庫は香港2級歴史建築物に指定されている。
卸売りを中心に全盛期は400店ほどが軒を連ねていたというこの大きな果物市場。現在、店の数はその半分ほどに減ってしまったが、それでも世界各地から集められた新鮮な果物を求める地元民や、100年以上前の歴史的建造物を一目見ようと訪れる観光客が後を絶たない。


2階建て店舗の内部。この様な店が向かい合ってずらりと並んでいる。
常に賑わうこの市場、実は十数年前まで裏の顔を持っていた。

香港の6大マフィア組織が共同で経営する非合法の賭博場が存在していたのだ。しかもマカオのカジノを彷彿とさせる香港最大規模の賭博場で、月曜日から土曜日まで24時間営業であったという。
長期に渡る捜査の末、2003年、ついに一斉検挙に至ったが、マフィア組織の重要人物のほか13人の警察官までもが逮捕された。油麻地ではつい先日も非合法賭博場が摘発されているが、ここまで大規模で警察も絡んだ組織犯罪は、いくら香港といえどもなかなかない。

* *

油麻地果欄を出たら、ひと筋東の道「上海街」を南下しよう。ここには調理用品の問屋街があり、飲茶用のせいろや月餅の木型など香港ならではの調理器具を売る店が並んでいる。この辺りは街の雰囲気も行き交う人も中心部と違いローカル感が漂う。

* *

香港の街なかで老朽化した10階建て前後のビルに出くわしたら、少し離れた場所からその屋上を見上げてほしい。ビルの上にトタン屋根が見えたなら、そこには地上から切り離された屋上スラムが広がっているかもしれない。

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最終更新:7/18(木) 15:02
サライ.jp

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