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ビル・ゲイツが動かす米国のエネルギー政策

7/18(木) 12:20配信

Wedge

 ビル・ゲイツ氏はマイクロソフトの共同創業者であり、世界有数の富豪として知られている。かつては長くフォーブス誌の富豪ランキングで世界一だったが、いまはアマゾンの創業者、CEOとして知られるジェフ・ベゾス氏一家に次ぐ世界2位だ。ベゾス氏の離婚は今月成立すると言われており、そうなればゲイツ氏は再度一位に返り咲くことになる。

 3月に発表されたフォーブス誌の2019年の富豪ランキングでは、ゲイツ氏の保有純資産額は965億ドル、7月14日時点では1038億ドルと円貨換算10兆円を超えている。ゲイツ氏は温暖化問題への関心が高く、気候変動枠組み条約に関する国連の会合に出席する一方、投資ファンドなどを通し温室効果ガス排出削減につながる技術への投資を続けていることでも知られている。

 7月3日ゲイツ氏は、「原子力は、世界2位の規模の低炭素電源だが、その成長は減速している。IEA(国際エネルギー機関)の重要なレポートは、国家がいかに既存と先進的原子力の技術革新を支えられるかを述べている」とツイートし、IEAの原子力発電に関するレポートを紹介している。

 ゲイツ氏は2006年に原子力の新技術を開発するテラパワーを設立し、個人資産を進行波炉(TWR)と呼ばれる原子炉の研究開発に投じてきた。さらに、彼が関与するファンドを通し蓄電池関連の新技術などに投資し温暖化防止に寄与する低炭素電源関連技術開発に注力している。

 昨年12月29日にはゲイツ氏はブログ・ゲイツノートで1年の振り返りと今年の抱負を掲載したが、その中では原子力発電の重要性を訴え、今年は原子力に注力すると宣言している。

ビル・ゲイツの取り組み

 昨年末の振り返りの中で、ゲイツ氏はエネルギー問題に触れ次のように述べている「今年の温室効果ガスの排出量は増えている。気候変動を防ぐには技術革新が必要だ。太陽光、風力のような再生可能エネルギーのコストが下がり問題が解決可能になると考える人もいる。私もコストを下げる技術開発が進むことを歓迎するが、太陽光、風力にはいつも発電できない問題があり、その解決に資するコスト競争力のある蓄電池は直ぐにできそうにない」。

 ゲイツ氏が関与するファンド革新的エネルギー・ベンチャーは、蓄電池、太陽光発電、地熱、バイオ、融合などの新技術開発企業に投資を行っているが、「2019年は、米国が原子力発電技術の研究において再度世界をリードする必要があることを訴えたい」とゲイツ氏は述べ、「気候変動への対処には、大規模に24時間発電可能な唯一のエネルギーである原子力が理想的であり、事故のリスクは技術革新により克服可能だ」とその理由を説明している。

 「米国は、科学者、起業家精神、資金を持つにもかかわらず、原子力技術においては世界のリーダーではなくなった。再度リーダーとなるため資金と新しい規制が必要であり、そのため米国のリーダーを説得する」とゲイツ氏は述べていたが、今年1月共和、民主両党の議員と面談、会食を行ったと報道された。

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最終更新:7/18(木) 12:20
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