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この夏の異常気象は、気候が「予測不能」な段階にきたことを象徴している

7/19(金) 8:11配信

WIRED.jp

フランス南部のガラルグルモンテュは、モンペリエからマルセイユへ向かう途中の地中海沿岸にある街だ。ここで6月下旬に、フランスの気象観測史上最高となる45.6℃を超える気温が記録された。これは2003年にフランスで発生したすさまじい熱波よりも高い気温である。

【記事の全画像】この夏も異常気象が止まらない。

こうした7月に入って、フランスのみならず欧州全体が、思わず目をむくほどの暑さに見舞われた。その暑さたるや、カクテルのアペロール・スプリッツを何杯飲んでも癒せないほどで、道路のアスファルトが熱で傷むほどだった。今年の6月は欧州の観測史上で最も暑かった6月であることが気象衛星のデータで示されているが、その6月をしのぐ暑さを7月の第1週に記録したのだ。

フランスは暑さにうだり、スペインは数千ヘクタールに及ぶ土地が山火事でで焼け野原になり、当局が消火活動に追われた。

世界各地で高温と低温の被害が相次ぐ

一方で、南極海の氷はいかなる予測よりも急速に溶けている。米中西部のミシシッピ川流域では、1993年の破壊的な大洪水以来、未曽有の規模の洪水に対処しているところだ。熱波に襲われた北カリフォルニアのボデガ湾では、数千ものムール貝が強い熱によって死滅した。

異常なのは高温現象だけではない。メキシコのグアダラハラでは、尋常ではない量の雹(ひょう)が降ったあとに豪雨となり、この山あいの都市は3フィート(約91cm)の氷に埋もれて復旧作業が行われた。

シアトルは昨年の夏、山火事による煙で汚染された空気に1カ月ほど晒された。そこでシアトル市当局は今年になって、山火事がまた発生した場合は建物内部の空気を浄化する装置「クリーン・エア・シェルター」を、市内の5つの公共施設で稼働させると発表した。高額なフィルターを備えた施設は、清浄な空気を呼吸できる安全な場所がない住民に開放されることになっている。

すべては温室効果ガスのせいなのか?

気候変動を予知してきたほぼすべての報告や科学記事が指摘するように、かつては異常だったことが当たり前になってしまっている。新たな「普通」の状態を探したとしても、見つからないだろう。なぜなら、そんなものは存在しないからだ。しかも気候が変動した世界での生活は、最も過酷な段階に向かいつつある。

だがそうすると、誰かがこう尋ねるかもしれない。今年の夏が異常気象だとすると、本当にそれはすべて気候変動のせいなのか、と。するとすかさず、気候学者のチームから回答があるはずだ。学者たちの試算によると欧州の熱波は、人類が温室効果ガスを大気中に放出していないと仮定した場合に比べて、5倍ほど深刻だという。

もっとも、質問が適切ではなかったのかもしれない。ラトガース大学の気候学者ボブ・コップは、「異常気象を温室効果ガスのせいにして、誰の役に立つのでしょうか? 温室効果ガスの排出によって気候変動のリスクがどれだけ増えたのかに関心があって、訴訟を起こすなら役に立つかもしれませんが」と話す。コップは米国内あるいは国際的に行われる気候変動の研究に携わり、論文を著している。

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最終更新:7/19(金) 8:11
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