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「発達障害生徒への配慮」としての「文学読解の軽視」?「ポリコレ以降」の国語教育

7/19(金) 18:56配信

FINDERS

国語でも批判や懸念が噴出する新学習指導要領

2018年の新学習指導要領公示以来、教育問題をめぐる議論が活発化しています。かなり大きな変化が求められる国語教育においても、当然のことながら、さまざまな議論が噴出しています。国語教育における新学習指導要領および大学入学共通テストの問題点を整理した基本文献としては、いまのところ、紅野謙介『国語教育の危機――大学入学共通テストと新学習指導要領』(ちくま新書)が参考になります。

現代的な教育問題については、『現代思想』(青土社)2019年5月の特集「教育は変わるのか」においてもさまざまな側面から論じられており、国語教育についても、先の紅野謙介氏(文学者/文化研究)をはじめ、日比嘉高氏(文学者/文化研究)、阿部公彦氏(文学者/評論家)、五味渕典嗣氏(文学者/文化研究)が専門的な立場から取り上げています。また、『すばる』2019年7月号においても「教育が変わる 教育を変える」という特集が組まれており、国語教育をめぐっては、伊藤氏貴氏が内田樹、小川洋子、茂木健一郎の各氏にインタビューをおこなっています。

よく聞かれる批判箇所としては、高校で必修科目の「国語総合」が「現代の国語」と「言語文化」に分割、また選択科目の「現代文A・B」「古典A・B」「国語表現」が、「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」に再編成され、あわせて2021年1月からセンター試験に代わって実施される「大学入学共通テスト」では新たに「資料読解」の問題が1問追加され、2017~18年に公開されたモデル問題やプレテストでは、駐車場の利用規約を読み解く問題や、著作権法の条文を読み解く問題などが出題されたことにより、「契約書が読めさえすれば、論理的思考が身についていると言えるのか」「現代文(評論文)ばかりが重視され、古典や近現代の文学作品を教える時間がさらに削られてしまうのではないか」といった批判や懸念が示されています。

このように現在、来るべき国語教育のありかたについて、議論が始まっているところだと言えます。ただ、本記事では、現時点ではあまり議論に上がっていないように思える国語教育をめぐる問題について考えたいと思います。それは、言うなれば、「ポリティカル・コレクトネス以降の国語教育」とでも言うべき問題です。いちおう立場をあきらかにしておくと、筆者の肩書きは「批評家・ライター・DJ」ですが、一方で都内私立の中高一貫校で国語を教える教員でもあります。

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最終更新:7/19(金) 18:56
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