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翼幅6cm超! 世界最大のハチは、かくして約40年ぶりに「再発見」された

7/19(金) 12:14配信

WIRED.jp

自然写真家のクレイ・ボルトが「ウォレス・ジャイアント・ビー(ウォレスの巨大バチ)」を再発見した正確な場所については、保全上の理由によって詳しくは書けない。ここで伝えられるのは、この巨大なハチは翼幅が2.5インチ(約6.4cm)もあり、セイヨウミツバチの4倍もの大きさがあるという事実だ。蜂蜜をつくって過ごすほかのハチとはまったく異なり、まるでクワガタのような巨大な大あごがある。

【動画】世界最大のハチ「ウォレス・ジャイアント・ビー」

このハチは数千匹の仲間と巣の中に棲むのではなく、ほとんどの時間を単独で過ごす。シロアリの塚に穴を掘り、内壁に樹脂で防水加工を施して、そこを住みかにするのだ。

インドネシアでの決死の捜索

ボルトたちは2019年1月、インドネシアの名もなき島で雨のなかを疲労困憊しながら、樹上にあるシロアリの塚を探していた。40年近く前に研究者が世界最大のハチを見つけたのは、そんな場所だったのだ。

ときには木の根元に座って双眼鏡で20分ほど観察して、はるか頭上にある塚に特徴的なハチの動きがないかを確かめた。地上の近くに塚があったときは、引っかき回して入念に調べた。

2つの島で6日間のうちに40個ほどの塚を捜索したあと、動きがあった。「ガイドが木を揺らして携帯電話のライトで塚の中を照らしたとき、何かが動いたのに気づきました」と、ボルトは言う。「ヘビを恐れて、彼は木から飛び降りました」

はやる気持ちを抑え、ボルトは自分で木に登り、そして世界最大のハチと対面したのだ。現地では「ハチの王」と呼ばれている(名前に反して巨大なのはメスだ。オスはメスの半分ほどしかなく、恐ろしげな大あごもない)。

メスのハチは興奮や警戒のそぶりもなく、独特な口を使って、巣穴の内壁にせっせと樹脂を塗り直していた。ボルトは穴の入口に試験管を置き、細長い草でくすぐって慎重にハチを誘導し、研究者が40年間も生きた姿を見たことのなかった生物の捕獲に成功したのだった。

ダーウィンと競った男

この科学的な冒険物語の始まりは、現代生物学の黎明期にさかのぼる。最初の登場人物は、巨大なハチがその名を冠するアルフレッド・ラッセル・ウォレス。ハチに負けず劣らず興味深い人物だ。長身痩躯の無口な若き探検家だった彼は、1850年代に熱帯林をうろついて標本を採集し、英国の人々に売ることで生計を立てていた。

こうしたなか、現地住民が彼のもとに持ち込んだ標本のひとつが、「大きな黒いスズメバチに似た昆虫で、クワガタのような巨大な大あごを備える」生物だった。

ウォレスはこの旅の途中、何らかの熱帯病、おそらくはマラリアにかかって高熱にうなされるなかで、自然淘汰による進化のアイデアを思いついた。かの有名なチャールズ・ダーウィンがじっくりと自説を練り上げていたのと同じ時期のことだ。

ウォレスは書き留めたアイデアをダーウィンに送り、これに焦ったダーウィンが『種の起源』の出版を急いだことで、残念ながらウォレスの貢献は十分に評価されなかった(公正を期していうと、ダーウィンの友人たちは、ふたりの発見を同時に学会で発表している)。

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最終更新:7/19(金) 12:14
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