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リアルとデジタルが融合する「ミラーワールド」で、小売りはさらに拡張する:『小売再生』著者インタヴュー

7/19(金) 12:30配信

WIRED.jp

eコマースや最近のD2Cブランドの台頭によって、その存在意義が問われ続けている小売業界。しかし、拡張現実(AR)やマシンインターネットが駆動する「ミラーワールド」の時代には、「小売り」の可能性が一気に解き放たれ、顧客体験から「ショッピング」という行為そのものまで変えてしまうかもしれない。「リアル店舗がメディアになる」とは、ミラーワールドにおいてどんな意味をもつのか、来日した小売コンサルタントで世界的ベストセラー『小売再生』の著者ダグ・スティーヴンスに『WIRED』日本版が訊いた。

「マシンインターネット」は小売の環境負荷を減らせるか

──ものづくりのブランドが消費者と直接つながる動きは、オンラインのなかだけでなくオフライン(実店舗)へと広がり、ファッション業界やスタートアップ界隈で注目されていますね。こうした動きを、どうご覧になっていますか。

D2Cの原点は200年前にさかのぼり、当時はメーカーが人々に直にプロダクトを届けていました。都市が巨大市場と化した産業革命を機にこの流れは変わり、流通の最適化に向けてメーカーは小売りに頼る必要があったのです。しかし、いまはどこのブランドであれ、再び消費者とダイレクトな関係を築けるようになってきています。

ナイキの最高経営責任者(CEO)であるマーク・パーカーは、「ナイキ製品を扱う小売業者が世界に3万あるが、流通拠点を40カ所に絞る。われわれは今後、自社の店舗やウェブサイトへの投資を強化し、顧客にブランドストーリーを届けていく」と発表しています。

──それは象徴的ですね。あらゆるブランドがD2Cを取り入れたとしたら、小売りの役割はどうなるのでしょうか。

例えば、本日の取材の場である「二子玉川 蔦屋家電」は、単一ブランドではなしえない顧客体験をキュレーションしています。書籍のジャンルから派生するさまざまなプロダクトの販売、プロトタイプの展示コーナーなど、優れた顧客体験の実現に向けてユニークな空間を築いています。小売りの未来は、このような店舗にあると思うのです。

──日本にはまだこうした事例が少ないですね。

はい。先日、日本で世界百貨店フォーラム (WDSF)2019に登壇したのですが、百貨店はその存在意義を再定義すべき業態のひとつです。かつて、何を買うべきか確信がもてないときに人々が最初に訪れる場所は百貨店でした。さまざまなジャンルのブランドをもち、まるでインターネットのような役割を当時は果たしていたからです。ですが、いまはインターネットと専門店の狭間で立ち往生しているようです。

百貨店こそ、商品の販売に限らず顧客に“体験”を提供すべき場所だと思います。男性でも参加しやすいファッション関係のワークショップ、ゲストが流行のスタイルや新製品について語るイヴェントを実施するのもよいかもしれません。現代において小売りが挑戦すべきこととは、ほかでは味わえない顧客体験をどうやって提供していくかだと思います。

最終更新:7/19(金) 12:30
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