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プランクトンの変化が突きつける、産業革命後の気候変動による「深刻な影響」

7/19(金) 18:11配信

WIRED.jp

海洋プランクトンのうち「有孔虫」と呼ばれるグループの群集を調べたところ、温かい水を好む種が増えており、産業革命以前の構成との違いが歴然だった。ある研究結果によると、それは気候変動と無縁ではないという。食物連鎖網の底辺を支える生物に生じた変化は、人間が生態系に与えた影響だけでなく、今後さらに食物連鎖を通じて深刻な影響が広がっていく可能性も示している。

気候変動の影響を受ける生態系の縮図

プランクトンは、もっと尊敬されてしかるべきだろう。小さな生物であるプランクトンは、潮の流れのおかげで浮かびながら移動し、海洋における食物連鎖網の底辺を支えている。

ちなみに動物プランクトンとは、小さな動物だ。一方で植物プランクトンとは、世界中にある酸素のほとんどを生み出す植物のような細胞である。二酸化炭素を吸い上げて酸素を吐き出しており、地球が人間にとって暮らしやすい環境であり続けているのは、そのおかげと言える。

地球上にいるすべての生物は、海にいる最も小さな生き物であるプランクトンと運命を共にしている。例えば、クジラはオキアミを食べる。そのオキアミはプランクトンを食べている。仮にクジラに興味がない人であっても、呼吸できるかできなくなるかについては気になるはずだ。

プランクトンは水温が上がると元気ではいられない。温かい水には養分が少ないからだ。ある研究によると、植物プランクトンだけを見ても、1950年と比べて40パーセント減少したという。

しかし、それ以外のプランクトンの数に気候変動がどれほど影響を与えているかを把握するのは難しい。プランクトンのほとんどは軟体の生命体であるため、死ぬとすぐに朽ち果ててしまう。どの程度の数のプランクトンが何百年も昔に存在していたかを調べることは困難である。

地球温暖化とプランクトン

しかし、プランクトンのなかでも「有孔虫」と呼ばれるグループは別だ。この生命体は、小さな粒状の硬い殻をもっている。

4,000種の有孔虫のうち約40種はプランクトンで、漂い浮かびながらその生涯を送る。残りは海底に生息している。有孔虫は死ぬと、海底の堆積物(セジメント)の一部になる。科学者たちはこう推察している。有孔虫も生態系の乱れによって苦しんでいるのではないか──。

世界中の海の3,500カ所を超える地点から収集した堆積物サンプルを分析した結果、海水温の上昇によってプランクトンの群集は急速にその姿を変えていることがわかった。『ネイチャー』に2019年5月に掲載された研究結果で、この変化があらゆる海の生き物にとって、ひいては地球にとって悪影響をもたらす可能性があることを示している。

海底調査にはいいこともある。堆積物の積もるスピードはとてもゆっくりであるため、過去を調べる際にそれほど深くまで掘る必要がない。「1cmが2世紀、ときには1,000年分にも相当します」と、この研究論文の筆頭著者でドイツのブレーメン大学の微古生物学者であるルーカス・ヨンカースは言う。

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最終更新:7/19(金) 18:11
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