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「一球入魂タイプ」じゃない会社員こそ自由になれる理由とは

7/19(金) 11:00配信

文春オンライン

今の時代、危険なのは「深掘り」である

成毛 一方で「一所懸命にこの会社でがんばる」「会社を変えてやる」と思っていた人ほど、あるときに心が折れて、あっさりと会社を辞めたりする。

柳瀬 自分は「一球入魂タイプ」ではなかったからこそ、会社を辞めなかった。ただ足元の仕事の先には、大きな転機がいくつかあって。雑誌、書籍、ウェブと広告。大体10年ごとに、仕事内容が大きく変わりました。

成毛 僕もそうかも。マイクロソフトに入社後、部長歴が10年、社長歴が10年、インスパイアを創って10年。HONZももうすぐ10年を迎えます。

柳瀬 これも結果論だけど、その周期で動いたことも良かったです。10年やれば、アマチュアなりに何となく仕事の目鼻は付く。

成毛 10年の間、そのジャンルの人たちとしっかり付き合うことが、次の10年にも活きますしね。そのまま20年やってしまうと、付き合いも知見も広がらない。むやみに足元を深掘りしていくだけ、というか。今の時代、それは合わない。10年掘れば、十分に深い。それこそ30年も深掘りしてしまうのは逆に危険。

柳瀬 危ない。それこそ、井戸になっちゃう。たまにいますよね、自分で掘った井戸から出られなくなる人。

成毛 掘りすぎると、そのうち水が出てきて溺れちゃうかもしれない。あるいは枯れ井戸になっちゃうかもしれない。

柳瀬 だから、何のために掘っているのか、そしてどれくらいまで掘ってきたのかは、常に自問自答しないと。僕の場合、仕事を通じていくつか穴を掘ってきましたが、“小網代の森”の保全をやったとか、それ以外の経験も大きかった。特にこれからの時代、一つの穴を掘りながらも、別の穴を掘り進めておかないと、その先で危険な目に遭遇しかねない。そのことはあらためて意識しておくべきだと思います。

成毛眞(なるけ・まこと)

1955年、北海道生まれ。書評サイト「HONZ」代表。79年、中央大学商学部卒。自動車メーカー、アスキーなどを経て、86年日本マイクロソフト(株)に入社。91年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社(株)インスパイアを設立、代表取締役社長に就任。08年、取締役ファウンダーに。10年、書評サイト「HONZ」を開設、代表を務める。元早稲田大学ビジネススクール客員教授。主な著書に『面白い本』『もっと面白い本』(岩波新書)、『定年まで待つな!』(PHPビジネス新書)、『amazon』(ダイヤモンド社)など多数。

柳瀬博一(やなせ・ひろいち)

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授(メディア論)。1964年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社。『日経ビジネス』記者を経て、単行本の編集に従事。主な担当書籍に『小倉昌男 経営学』、『アー・ユー・ハッピー?』(矢沢永吉)、『流行人類学クロニクル』(武田徹)、『ニッポンの課長』(重松清)など。2008年より『日経ビジネス オンライン』のプロデューサーなどを歴任。ラジオパーソナリティとしても活躍。18年、日経BP社を退社。現在、東京工業大学で「メディア論」について教鞭を振るう。 

成毛 眞,柳瀬 博一

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最終更新:7/19(金) 11:00
文春オンライン

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