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節税を意識した「役員退職金」の活用…税務リスクは大丈夫か?

7/19(金) 10:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

役員退職金を決める際、みだりに金額を設定してしまうと、思わぬ税務リスクを抱えてしまうことがあります。たとえば、極端に高い退職金を支給すると、損金(法人税法上の経費)として認められない場合もあるのです。そこで本記事では、税理士法人中央会計の辛島政勇氏が、役員退職金にまつわる注意点を解説します。

損金不算入だと二重課税になってしまう「役員退職金」

法人税法上では、不相当に高額な役員退職金は損金算入が認められておらず、合理的な金額である場合のみ、損金として認められています。

退職金は、役員在任期間の功績に対して支払われる報酬という側面もあるので、「合理的な金額」は、在任期間・役員報酬額・功績などを考慮して決められるのが一般的です。しかし法人税法では、役員退職金の具体的な計算方法は示されていません。

では、どのように決めれば合理的といえるのでしょうか? 功績倍率などを考慮して計算する代表的な方法を見てみましょう。

※功績倍率とは・・・

役員任期中における会社への貢献度を、ある一定の倍率で表したものです。特に決まった倍率が定められているわけではなく、個人の功績の内容に左右されます(任期中に職位が変更になった場合などは、各職位での功績倍率の平均をとることもあります)。

そのほかの方法を使用して計算した場合でも、従事期間、退職理由、同業種・同規模法人の退職金などと照らしあわせ、不相当に高額であると判断された際は損金不算入となります。そうならないためにも、同業種・同規模の他社が使用している数値などを参考にして決めることが一般的です。

◆損金不算入となった場合

不相当に高額だとして損金不算入になった金額については、法人税法上の経費となりません。つまり、損金不算入となった役員退職金分には法人税が課せられるのです。さらに、役員賞与として取り扱われるため、退職者には給与所得として所得税が課されることになり、法人においては賞与として源泉徴収義務が課せられます。つまり損⾦不算⼊となった⾦額には、法⼈税と所得税が⼆重で課税されることになります。

実際に退職金を計算してみよう

前提条件

●役職:代表取締役社長

●最終役員報酬月額:50万円

●在任期間:30年

●功績倍率:社長3倍、専務2.5倍、常務2倍、平取締役1.5倍

計算式

最終役員報酬月額×役員在任期間×功績倍率

計算例

50万円×30年×3=4,500万円

こちらは最終功績倍率法で算出した退職金の参考値です。同業他社の統計データなどを見ながら業種や規模を考慮して、否認されるリスクを判断します。

◆役員報酬が0円であった場合

最終役員報酬額が0円であったり、最終的に非常勤などで役員報酬が極端に低かったりしても、それまでの会社への貢献から、役員退職金を支給するケ-スもあるでしょう。

そういった場合は、上記例の功績倍率を考慮した計算を行うと、退職金額が0円ないしは現実に即さない低い金額となってしまいます。このような状況を避けるため、同業種・同規模の法人の退職金額の平均を参考にして算出する方法もあります。

ほかには、過去に役員退職金を支給しているのであれば、その実績に基づいて算定する方法や、国税不服審判所の過去の(類似企業の)判例を参考にする方法、類似企業の役員退職金額の平均から算出する「1年当たり平均額法」などが挙げられます。

1年当たり平均額法の計算式

(類似企業役員退職金額÷その類似企業役員の勤続年数)×今回退職金を支給する役員の勤続年数

◆準備と手続き

退職金規程を作成して功績倍率などを定めておくと、恣意性を排除し税務署への説明根拠とすることができ、金額を決定した取締役の責任も回避しやすくなります。また、株主総会での決議も必要となりますので、その議事録も作成するようしてください。[図表1]が簡単なサンプルになります。

◆役員退職金支給規程

役員退職金の計算方法の規程を作成し、それに基づいて退職金の計算・支給を行いましょう。※退職金規程がなくても、今までに支払ってきた実績があり、退職金制度があるとみなされる場合もあります。

◆株主総会議事録などの作成

株主総会を開き、規程に基づいて決定した役員退職金支給に関する議事録を作成しておきましょう。

◆合同会社の決定書

合同会社の場合は決定書となります。

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最終更新:7/19(金) 10:00
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