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ホンダ「N-WGN」発売3週間遅れ 裏にフィットの教訓

7/19(金) 19:00配信

日経ビジネス

 ホンダは18日、軽自動車「N-WGN(エヌワゴン)」の新型車を8月9日に発売すると発表した。当初は7月19日の発売を予定していたが、一部部品の供給遅れで発売が3週間遅れる。異例ともいえる3週間の延期だが、消費者の手元に届いてから部品の不良が発覚し、リコール(回収・無償修理)を引き起こす最悪の事態はひとまず回避できた。かつて引き起こした小型車「フィット」でのリコールの教訓が生きたとの見方もできなくない。

 「残念なことではあるけれども、水際でも止められるというのは最低限の進化だと思っている」。ホンダの日本本部長を務める寺谷公良執行役員は過去のリコールと今回の発売延期の関係について問われると、こう答えた。客先に届いてから部品の不良が発覚する事態は避けられたという意味だ。

 ホンダは2013年から14年にかけて主力小型車「フィットハイブリッド」で5度のリコールを繰り返した。伊東孝紳前社長が掲げた世界販売600万台という規模を追求する姿勢が開発現場への負荷となり、設計段階から問題を抱えてしまったのがリコールの背景にあったとされる。

 今回の発売延期の原因となった部品をホンダは明らかにしていないが、「設計が未熟だったというものではなく、生産工程上での不良」(寺谷執行役員)といい、本質的にはフィットの問題とは異なる。とはいえ、月間販売目標の7000台に対し、すでに1万2000台の注文を抱えており、3週間の遅れは「全く痛くないといえばうそになる」(同)

 N-WGNは軽自動車ながら横断自転車に対する衝突被害軽減ブレーキを搭載。渋滞時でも機能する前車追従機能など安全装備を充実させている。ホンダが「N-BOX(エヌボックス)」購入者を対象にした調査では15年度には購入理由としての回答の17%程度にとどまっていた安全性能が18年度には5割前後まで高まっていることを受け、安全性能を充実させた。

競合するスズキの「ワゴンR」など「ハイトワゴン」と呼ばれる車種の市場で「長く商品として使ってもらいたい」(開発責任者の本田技術研究所の古舘茂氏)ことを意識したという。

 10月には消費増税を控えるだけに、駆け込み需要を取り込むという意味では3週間の遅れは痛いかもしれない。しかし、そのあとの谷が深いのは望ましいことではない。むしろ、新型車投入の効果が持続してくれれば、谷は浅くなる。リコールを起こしてしまえば、販売に悪影響を及ぼすことにもなる。3週間遅れるとはいえ、良品を供給するというメーカーとしての責任を果たすことは、ホンダの評価を決して下げることにはならないだろう。

菊池 貴之

最終更新:7/19(金) 19:00
日経ビジネス

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