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LGBTも安心な美容室 性差超えた髪形、接客が高評価

7/20(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

性的少数者(LGBT)でも安心して利用できる美容室が現れている。見た目で性別を判断せず、男らしさや女性らしさを超えてなりたい髪形をかなえる。接客中の会話やトイレにも工夫を凝らす。ジェンダーレスやユニセックスなど、男女の性差の垣根を越えたおしゃれのトレンドが髪形でも広がっていることが後押ししているようだ。
「今日はボーイっぽい中性でいこう」。6月中旬、東京・原宿のビル2階にある美容室「ブリーントウキョウ」。スタイリストのKAHOさん(23)が鏡の前に腰掛けた飛田実穂さん(23)から髪形に関する要望を聞き取り、声をかけていた。肩から下げたはさみの収納ケースには、虹色リボンのバッジが光る。LGBTに対する理解や賛同を示している。KAHOさんも飛田さんもLGBTの当事者だ。
KAHOさんは「同性愛者であることに悩んでいたけど、今は自分の強み」と力を込める。得意とするのは男女という概念にとらわれない髪形。たとえば、頭頂部から耳の上までは長く残し、耳から下は刈り上げる「ツーブロック」。本来は男性向けの髪形だが、丸みを帯びたショートカットやゆるやかなパーマと自在に組み合わせる。
当事者ならではの微妙な感覚を取り入れた髪形をインスタグラムで発信すると、徐々に指名が増えていった。「肌感覚では指名客の8割が当事者。なりたいイメージを率直に伝えられず悩む人が多かったのでは」と受け止める。自分で髪を切っていたと打ち明ける人もいるという。
飛田さんもその一人で、美容室へ行くとかわいらしい髪形にされることに抵抗を感じていた。鏡の前に並ぶ女性誌や「彼氏はいるんですか」という会話に黙り込んでしまうこともあった。ただKAHOさんと出会いそれが変わった。「『女の子らしい』も『男っぽい』も好きじゃなかった。どちらでもない自分が受け入れられている」と話す。
性的少数者を支援したり配慮したりする取り組みを「LGBTフレンドリー」と呼ぶ。五輪憲章に性的指向による差別の禁止が2014年に盛り込まれたことを契機に、日本でも広がり始めた。20年の東京五輪・パラリンピック開催国として対応は欠かせない。こうした姿勢を打ち出す企業が日本でも増えてきた。
ブリーントウキョウが掲げるのは「ジェンダーレスなサロン」。LGBTへの配慮を強く打ち出しているわけではない。運営するグランネス(東京・渋谷)の橋本幸生社長は「結果的にはLGBTのお客さんの共感を得ている」と話す。
一端が顧客情報を管理するシステムから見てとれる。客が個人情報を書くカルテには男女の性別欄はないが、システムでは男女の区別が必要になる。当事者とみられる客が目立つようになり、接客したスタッフが感じた心の性別に応じて入力するようすると、昨年は女性比率が48%だったが今年は38%に変わった。
橋本社長は「男女で市場を分ける美容業界の流れが時代にそぐわなくなってきている。マーケティングの観点からもLGBT層のニーズに応えていくことは重要」と話す。再来店率は33%から42%に高まった。
安心して足を運んでもらえるよう徐々に対応を進める。トイレの1つは男女共用とし、「オールジェンダーレストルーム」と掲げ誰でも使いやすくした。
雑誌は並べず、iPadから読みたい本を選んでもらう。彼氏や彼女の話題を聞くときはパートナーと呼ぶ。スタッフのあいだでは女性らしさはやわらかさ、男らしさはクールな雰囲気などと言い換える動きが広がっている。
理美容業界では長年、採用難や人手不足が続く。LGBTも訪れやすくした取り組みは人材獲得にもつながっている。18年の新卒採用では、面接した30人のうち2割が当事者だと公表した。「働きやすそう」「受け入れてもらえそう」といった志望動機につながっていたという。
別の美容室、ミント(東京・渋谷)では、戸籍上は男性でも自身を女性と認識しているトランスジェンダーの来店が目立つようになった。男性から女性へ性別を変えたタレントの西原さつきさんのヘアメークがブログで取り上げられたのがきっかけ。代表のMISAKIさんは「男性と女性では髪質や骨格に違いがあり施術にも工夫が必要」と話し、北海道や九州から足を運ぶ客もいるという。
電通ダイバーシティ・ラボが18年、全国6万人(20~59歳)を対象にしたインターネット調査ではLGBTの当事者は約9%だった。15年の前回調査から1.3ポイント上昇している。LGBTに関する理解が広がったことで、自分の性と向き合う人が増えているとみられる。よりきめ細かな対策が欠かせなくなりそうだ。

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最終更新:7/20(土) 12:15
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