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日本の韓国に対する輸出規制を各国のメディアはどう見ているのか?

7/20(土) 17:00配信

クーリエ・ジャポン

北東アジアから広がる波紋

日韓関係がこじれている。

言うまでもなく、もともと両国の間には、歴史問題をはじめいろいろな問題が横たわっている。しかし日本政府が韓国向けの輸出規制強化を発表したことで大騒動になっているのだ。その上貿易規制上の優遇措置対象になっていた「ホワイト国」のリストから韓国を外すことも検討していると報じられている。

米政府系ラジオ「VOA」は、韓国側がこの措置に「前例のない緊急事態」であると述べたと報道。さらに「日本政府は、韓国が北朝鮮に対する国際的な制裁に違反していることが背景にあると主張している」と続く。日本から輸入した物質を、韓国が北朝鮮に流しているという疑惑を指しているのだ。

そんな中、北朝鮮の制裁回避の実態が改めて話題になっている。米TV「CNN」は、ドイツ製高級車「メルセデス・マイバッハS600ガード」がオランダのロッテルダムから2ヵ月をかけて横流しされていたと報じた。

「中国、日本、韓国、ロシアを経由して最終目的地へ輸送された」との結果を米シンクタンク高等国防研究センター(C4ADS)が出したのだ。北朝鮮でこんな車両が必要なのは一人の「顧客」しかいないとも指摘した。

あらためて北朝鮮に対する制裁違反も注目されているわけだが、やはりその背景には、日韓の貿易問題が取りざたされていることもある。

欧米では日本の措置が、韓国の主張するように世界的なビジネスに大きな影響を与えるという向きもある。このニュース、海外はどう見ているのだろうか。

米公共ラジオ「NPR」は、「日韓関係のこう着状態が続き、安全保障において利害が一致しない。これはアメリカと日本、韓国における軍事的な同盟関係にとって、長期的で深刻な安全保障の問題になる可能性がある」と指摘している。そして日韓が「友人」に戻らなくとも、利害を理解して「同盟」の関係で居続けるよう米国は説得すべきだとした。

米誌「フォーリン・ポリシー」は、ワシントンDC在住の韓国系弁護士の寄稿を掲載。日韓の小競り合いは新しくないが「歴史問題がある中で、韓国との貿易問題を『武器』に変えた日本の今回の決定は、ラジカルな動きである」と感情的に主張している。

さらに「安倍晋三首相の韓国に対する貿易措置は、アメリカのドナルド・トランプ大統領の貿易戦争を想起させる。不透明で、自己矛盾しており、措置の過程で国際的にも国内的にも経済を悪化させる可能性がある……日本がこの措置によって何を達成しようとしているのかわからない」と指摘した。

タイのニュースサイト「アジア・タイムズ」は、貿易戦争にまで発展している日韓の歴史問題に「警戒せよ」と報じている。

「日韓の長く続く歴史問題が、外交の枠を破壊し、世界第3と第11位の経済国を本物の貿易戦争の崖っぷちに追いやっている」とし、「その危険度はとんでもない。親米の民主国家である北東アジアの2ヵ国によるこの新しいバトルは、世界の電子機器市場のサプライチェーンだけでなく、地政学的にも大変な事態になりそうな脅威となる」と案じた。

その上で、「安倍晋三首相は韓国を信頼できない国であると見ている」とする。そして日韓の問題は、世界のみならず近くのアジア諸国にも影響を与えると指摘した。

一方で米IT系サイト「テッククランチ」は、ある皮肉な動向を伝えている。

DRAMメモリの世界シェア1位であるサムソンなどは今年、過剰在庫が予想されていた。そのため価格が下がり、サムソンの利益はここ4年で最低レベルにまで押し下げられるだろうと言われていたのだ。

それが今回、日本による規制が絡んできたことで、DRAMの供給が落ち価格が上昇しているという。サムソンのメモリチップ分野にとっては、今回の騒動が吉と出ている部分もあるようだ。

とはいえ、対立が解消される見込みはしばらくなさそうだと、海外の専門家は予測している。米TV「CNBC」は知日派の投資家のコメントを引用し、「残念ながら、さらに問題が悪化する可能性は高い」と報じた。

この騒動はどこに向かうのか、世界が注目している。

Toshihiro Yamada

最終更新:7/25(木) 11:25
クーリエ・ジャポン

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