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オプジーボの保険適用で大きく変わった「がん免疫治療」の現在

7/20(土) 10:09配信

FRIDAY

がんの免疫療法は、日進月歩で急速に変わり始めている。近年、大きな変化をもたらしたのが「オプジーボ」をはじめとする「免疫チェックポイント阻害剤」の登場だ。

オプジーボの保険適用は14年12月の悪性黒色腫(メラノーマ。皮膚がんの一種)を皮切りに徐々に拡大し、現在は非小細胞肺がんや胃がんなど7種類に。類似薬の「キイトルーダ」は、昨年12月にあらゆる固形がん(一定のゲノム的特徴を持つがん)に対して承認された。ただし、どのがんも初回治療から使用できるわけではなく、それぞれ適用条件がある。また、その有効率は10~30%に留まっている。

がん研究会がんプレシジョン医療研究センター所長の中村祐輔医師(66)は語る。

「オプジーボは、一部のがん患者さんにしか有効ではありません。今は遺伝子異常の多いがんに効きやすいことがわかっています。効いた人に現れる効果が長期間継続することが、これまでの分子標的治療薬とは異なる点です。従来の抗がん剤が全く効かなくなった進行がんでも腫瘍が縮小し、その状態のまま維持できていたり、腫瘍が完全に消えて再発することなく数年が経過している人も少なくないのです。そのため、アメリカや中国では、免疫療法の効果を高めるための新しいがんワクチンの臨床試験が続々と始まっています」

海外では急速に広がりつつあり、Natureなどの学術雑誌にも報告されているのが、患者自身のがん細胞の遺伝子変異を利用するオーダーメイドがんワクチンだ。専門的には「ネオアンチゲン療法」と呼ばれる。これは、中村医師が長年研究してきた遺伝子解析を活かした最先端の免疫療法で、日本でも標準治療を終えた患者を対象にした民間主導の臨床試験が急ピッチで準備されているところだ。

「日本で免疫療法を受ける患者さんは、それまでに抗がん剤治療を何クールも受け、何度も抗がん剤の種類を変えながら、ときに放射線を組み合わせてギリギリまで頑張ってこられた方が多いのです。そのほとんどが、がんの進行やそれまでの治療によってすでに免疫力が大きく低下し、がんと闘うリンパ球が少なくなってしまっています。しかし、オプジーボで証明されたように、免疫療法は患者さんの自身の免疫が非常に重要なため、本来はもっと早い段階で行えるのが理想なのです。最も効果が期待できるのは、放射線療法や患者さんの免疫を抑えない分子標的治療薬との併用です。もちろん、再発リスクの高い患者さんの術後の再発予防療法としての活用も有用と考えています」(中村医師)

現在、中村医師がシカゴ大学時代から協力関係を築いてきた東京・大阪・福岡にあるクリニックで、この新たな免疫療法を受けることができる(自由診療)。いずれも院内に細胞の培養施設を供え、投与するがんワクチンの品質管理から治療後の効果判定まで一貫して行う。免疫療法の治療・研究の実績は30年以上という専門機関だ。

ネオアンチゲン療法はほとんど副作用がないため、標準療法と組み合わせることでの相乗効果も期待されている。相談に訪れる患者さんのほとんどが標準治療で効果が出にくくなった段階の人たちだが、実際にがんワクチンを作成でき、治療に入れた人たちの中には腫瘍が縮小するなどの効果が出てきているという。

こうしたエビデンスの積み重ねが、多くの患者にとっての新たな希望となることは間違いはずだ。この新しいがんの免疫療法や診断システムについて、中村医師や3人のクリニックの医師からより詳しい説明を聞くことができる市民公開講座【プレシジョン医療が導く新たながん治療】が、7月27日(土)14時から17時まで、東京・浅草橋ヒューリックホールで開催される(要予約)。詳細は「ビオセラクリニック」まで。

最終更新:7/20(土) 10:09
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